WATER COLOR

English Text

 These are my works in watercolor.My theme of those works is “surface and the depth”, and I tried to express it in watercolor. At first I spread different watercolors on the paper using water.After drying, I placed the dots from small to l…

「画家の晩年の作品はなぜ狂気をはらむのか?—ティツィアーノ展」

美術関連

 たとえばカラヴァッジョなら、その絵を見て「現代」を感じることができる。絵画でありながら映像的、しかも現実感があることが400年以上の時を経ていながら、それを現代的なものにしているだと思う。 しかしティツィアーノはどう受け取ったらよいのか? ルネッサンスの巨匠、バランスのとれた完璧な絵画、それとも色彩のなんともいえない品のある深さ、などなど。しかしあまりに遠すぎ、あまりに違いすぎる。あまりに違いすぎて取りつく島がない。こういうことは西洋絵画のいわゆる巨匠といわれる画家の絵に…

日常に侵入する「ホーリー・モーターズ」

日常

 レオス・カラックスの「ホーリー・モーターズ」を見た衝撃がおさまらない。  “「日常」に侵入する映画”と言うべきか。  映画はドキュメンタリーでない限り、フィクションであり虚構の出来事なので、現実生活の日常とは一線を画している。それゆえ、作品がどんなに日常の風景を描こうとしてもそれはやはり映画という虚構のなかのことととらえられてしまう。かくしてもっと日常感覚を映画に入れようとするとそれは必然的にドキュメンタリーとならざるを得ない。美術が「日常」をやろうとしてもただ平凡で身近…

ベーコンの犬の絵

日常

Y: ベーコンの犬の絵、見た? H: あの絵すごい、いいよね。マイブリッジの写真をもとにして描いているようだけど、時間を停止させた写真の反対をいくようで、延々とこの時間が続いていくような恐怖があるな。映像に近い感じもある。 Y: だけれどあの絵はガラスが光っていて見づらいよ。 H: そうそう、右に行ったり左に行ったりなかなかよく見えないけどそれもおもしろい。 Y: あれはベーコンの指定なんだろう。金の額縁といい、光ってよく見えないガラスといい「この絵、凶暴につき・・」って感…

絵画の距離

美術関連

 絵をつくる時の距離、これは絵を見る時の距離でもあるのですが、これに関しての論はあまり見たことがありません。山本和弘氏がわたしの絵画に関して書いた論文『無限層の絵画、あるいは豊かな絵画』がそのことに関して言及したのが2008年のこと、写真や他の分野などにとってはむしろ身近な問題なのかもしれませんが絵画に関してはあまり聞いたことがありません。しかしわたしにとっては重要な問題です。  絵に接近してかいているときに見ているものと、少し離れてみたもの、さらにもっと…

3年間かかった絵

美術関連

この絵は2009年に始めたものですが、完成までに3年間とちょっとかかってしまいました。と言ってもその間これにかかりきりというわけではなく、一年経って加筆、また少し経って加筆をして、できたのが2011年になってしまったわけです。こういうことはあまりないのですがこの作品は大きい(259x259cm)ということもあって落ち着く地点がわからなかったのです。その間絵を回転して現在の天地が逆になったこともありました。そして一年寝かせておいてようやく完成となりました。題名は「皮膜9」(m…

五美大展講演会「今、社会と美術を考える」

美術関連

 五美大展の最終日、2月24日(日)に国立新美術館3階講堂において「今、社会と美術を考える」というシンポジウムが開かれました。今年の展示の幹司校が武蔵野美術大学ということで、美術系の学科が中心となって決めたテーマです。モデレーターに田中正之教授(美術館・図書館館長)、パネラーに池田光弘、手塚愛子、中崎透、冨井大裕らの若手美術家を迎えての企画でした。  主催者側の簡単な紹介のあと田中氏がこのようなテーマを“なぜいま考えなければいけないのか”“美術に社会性はあるのか、それは社会…

『精神世界、物質世界』、『博士の異常な愛情』

日常

 桜沢如一の「無双原理・易」には次のことばが出てくる。 「西洋人は、東洋人にとって地理的には反対の世界、すなわち裏側に住むばかりでなく、思想的にも反対の世界に住んでいる。われわれ日本人が空気のように感じている精神世界は、彼らにとっては、とても分かりにくい世界であって、彼らが物質世界をいかに深く生きているかということは、われわれには完璧には分からないのではないかと思われる。」(この著は1931年にパリで出版され、今またマクロビオティックの原点として注目されている)  よく言わ…

エル・グレコ展

美術関連

 絵画は可動だから、その場特有の、その場でなければあり得ないということは基本的にはあり得ないのだが、グレコなどやはりその生きた土地トレドで見なければ意味がないという偏った考えをわたしは持っていた。だから日本でやっているのを見たくない、でもやっぱり見たい、という複雑な心理状態があってじっとしていたのだがやっぱり初日にのこのこ出かけてしまった。  今回の展示の特徴は、世界からグレコの小さい作品が集まっていることだろう。なるほどこれならここでやる意味がある。すこし宗教を離れて気楽…

2010年「罪と罰」「C’est la vie!」「カラヴァッジョ」展のこと

美術関連

「Crime & Châtiment」(罪と罰)展、「C’EST LA VIE!  VANITÉS DE  POMPÉI À DAMIEN HIRST」(セラヴィ、虚無、ポンペイからダミアン・ハーストまで)展、「CARAVAGGIO」展のこと  以前に書いたブログのなかで、「Crime & Châtiment 」展(「罪と罰、ゴヤからピカソまで」、2009年にパリのオルセー美術館で開かれた美術展)のことにちょっと触れたのですが、そのことへの質…