記憶について<対話「私が生まれたとき」神戸ー25年あと(未来)の記憶ー>展によせて
この世は私たち生きている者だけの世界ではない。あなたのなかにはおじいちゃんやおばあちゃんがいて、かつての自分もいることだろう。私たち生者は死者とともにある。言葉や絵、およそつくられたすべてのものが、生きている人たちだけではなく死者にも向けられている。もしもそれらが生きている人たちだけのものとすると、それは単なる癒しのもの、趣味のもの、うすっぺらな美しいものだけになってその豊かさを失うだろう。 原爆の図にしても、生きている私たちにその惨状と作者の感情を訴えるとともに死者に…