C通信97 生成AIによるアセファル宇宙人像

*アセファル宇宙人について:C通信48参照 かたちをもたないであらゆるものに入り込む。着ぐるみのキャラのなかや容器のようなもの、さらにことばや音のなかにも入り込む。 アセファル宇宙人                                         「最近はにんげん人の世界にかたちをもたない“生成AI”が出てきた。こちらもかたちがないからよく間違われるけどちょっと違う。もっと根本的なことで言うと、“あらゆる文明はかたちを失う”というのがアセファールの惑星の結論…

C通信96. 3つ目の岩石小僧、タイタン、圧力

C通信

三つ目の岩石小僧  こっちの世界から見たらあっちはおかしいぞ。タイタンとかいう潜水艇が大きな水圧でつぶれてにんげん人5人が死んだらしいな。エクストリームツーリズムとかいうらしいけど、どうしてそこまでして海底に沈んだ船を見たいのか、気が知れないよ。しかもタイタンは実験的にカーボンファイバーでつくられていて、これが構造的な欠陥だったといわれている。もしもの事故の際に知らせる手段も構造も無しに潜水して、小さな亀裂から爆縮圧壊したらしい。タイタニックは水深3810mの海底に沈んで…

C通信95 珊瑚人と岩石人の会話

珊瑚人「だからさ、生きているのも大切だけどあるのも大切なんだよ・・・あるだけでいいのよ。岩石人のようにそこにあるだけでいいのよ」 岩石人「嬉しいことを言ってくれるなあ。地中の奥深くで高圧力と温度のなかで変成してきた甲斐があるよ。 いやそれこそがおれたちの輝かしいボディなんだけどな。珊瑚人だってすごいよ。あんたのボディーも粒子の集まりが星をつくっているような感じがあるな」 珊瑚人「原始的よね」

C通信94. 珊瑚人と岩石人の会話

C通信

   アセファル宇宙人が聞いた、岩石人と珊瑚人の会話 珊瑚人「アー、にんげん人ってなんなのよーっ、命の大切さばかり言って・・そのわりには平気で殺し合いをするんだから・・・しかも武器を使って殺したりする・・・どうなってんの?」 岩石人「むー、おれたちの何億年の時間から見たら、今はにんげん人がはびこっている特殊な時期なのかもしれねえな。たしかにあいつら命、命ってうるせえんだよっ、いつも生命体だから命第一主義は仕方ないにしてもなあ。おれたちはそこでは命がない無生物っていうことにな…

C通信93. 岩石人

岩石人は生きものではないがひとのかたちをしている。岩石人は主に6つの主要な造岩鉱物である石英、長石、黒雲母、角せん石、輝石、橄欖石とそのほかの副成分鉱物からなる。死者だけがこの姿を見ることができる。一方アセファル宇宙人はかたちをもたない。地球では着ぐるみのなかにいることが多いが化石にもなれる。

C通信92. マイロナイト 岩石人 Mylonite

   ネクロポリの死者から見たら岩石も生きている。生者から見れば無生物、ただの岩石でしかないものがまるで人のように生きていてその存在の光を放っている。それをマイロナイト岩石人と名づけよう。  マイロナイト岩石人は断層のなかで生きてきた。地上から10キロメートルから15キロメートルの深い地中のなか、300度を超える高温、高圧のなかでその一部の鉱物が再結晶しながら流動してこの岩石人が誕生する。  もともとは花崗岩ではあるが高温と凄まじい圧力でそれに含まれる石英などが細かい粒子と…

C通信91 死者の街の生者 The Living and Necropolis

死者にとってネクロポリは生者の街にほかならない。ここに来る生者は全身フサフサして黒っぽく、鬼を肩車しながら小人のプロレスラーのようにすばしこく振る舞う。それは死者にしかわからない。生者には石しか見えない。 For the dead, Necropolis is nothing more than a city of the living. The living who come here are all fuzzy and dark, and act impolitely …

C通信90 山が歌う The mountains sing

C通信

顔をもった山が現われた。山はうめくような低い声で何かを言い出した・・・というか歌なのか? 山は行く おれたちは運動をしているのさ マグマからかんらん岩、かんらん岩が沈んで玄武岩、玄武岩が溶けてもっと軽い花崗岩 あるいは玄武が変成、緑色岩 山は行く 石灰岩は珊瑚やフズリナの堆積から チャートは放散虫の堆積から そんなこんなで数億年 山は行く 35億年前の超新星爆発 生成されたカルシウム 血液鉄分 元はやはり超新星 バクハツー

C通信89 月のウサギが荒野を駆ける The Moon Rabbit Runs in the Wilderness

 月にウサギがいる、という伝説は探査船が着陸する今となってはあまい夢物語でしかない。月のでこぼこは宇宙からの隕石衝突の痕であり、そこが死の世界であることをかたちで示している。もしもそこにウサギがいたら、降り注ぐ隕石の嵐のなかを逃げ惑ったであろうし、そもそもそれは生物の誕生以前の話であり、いきなりウサギがそこにいるはずもない。  それでもウサギは存在する。死の世界ゆえにウサギは存在する。月にウサギの影があるのだからウサギは現実に存在するのだ。  宇宙のはるかかなたには超新星の…

C通信88 月面上空のオリヅル号 Orizuru over the surface of the Moon

 宇宙船オリヅル号は月の上空にいる。死者が操縦する宇宙船は月でウサギを探すためにやってきた。  最初の宇宙飛行士たちの足跡は1000万年はそのままの姿で残されるはずだ。つぎの宇宙飛行士や着陸船がそれを吹き飛ばさない限り・・・しかし最初の足跡自体が40億年前からある月面に変更を加えたのだ。