C通信90 山が歌う The mountains sing

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顔をもった山が現われた。山はうめくような低い声で何かを言い出した・・・というか歌なのか? 山は行く おれたちは運動をしているのさ マグマからかんらん岩、かんらん岩が沈んで玄武岩、玄武岩が溶けてもっと軽い花崗岩 あるいは玄武が変成、緑色岩 山は行く 石灰岩は珊瑚やフズリナの堆積から チャートは放散虫の堆積から そんなこんなで数億年 山は行く 35億年前の超新星爆発 生成されたカルシウム 血液鉄分 元はやはり超新星 バクハツー

C通信89 月のウサギが荒野を駆ける The Moon Rabbit Runs in the Wilderness

 月にウサギがいる、という伝説は探査船が着陸する今となってはあまい夢物語でしかない。月のでこぼこは宇宙からの隕石衝突の痕であり、そこが死の世界であることをかたちで示している。もしもそこにウサギがいたら、降り注ぐ隕石の嵐のなかを逃げ惑ったであろうし、そもそもそれは生物の誕生以前の話であり、いきなりウサギがそこにいるはずもない。  それでもウサギは存在する。死の世界ゆえにウサギは存在する。月にウサギの影があるのだからウサギは現実に存在するのだ。  宇宙のはるかかなたには超新星の…

C通信88 月面上空のオリヅル号 Orizuru over the surface of the Moon

 宇宙船オリヅル号は月の上空にいる。死者が操縦する宇宙船は月でウサギを探すためにやってきた。  最初の宇宙飛行士たちの足跡は1000万年はそのままの姿で残されるはずだ。つぎの宇宙飛行士や着陸船がそれを吹き飛ばさない限り・・・しかし最初の足跡自体が40億年前からある月面に変更を加えたのだ。

C通信87 放散虫と石 Radiolaria and Stone

 アセファールは石になることを実行に移す。ヒントになったのは放散虫とチャートの関係である。放散虫は小さなアメーバ状の体のなかに、二酸化珪素(=SiO2)の骨格を持つ原生生物で、死んだあとに海底に堆積した骨格が長い年月を経てチャートになる。カルシウムではなくガラスの骨格なのだ。チャートの主成分は二酸化珪素で、石英と同じく無色透明だが、含まれる不純物によって色が変わる。よく見られる赤いチャートは鉄分によってその赤色を得る。  アセファールが注目するのは放散虫の堆積速度である。無…

C通信86 粒子の集合体 Aggregation of particles

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粒子の集合体としてしての人間、 物質の構成要素としての粒子の集まりがなぜ生命体となったのか? 意識は量子的宇宙に生じる物理的特質のひとつなのか? ひょっとすると粒子のひとつひとつが意識のようなものをもっているのではないか。

C通信:番外 弾薬庫に出現したアマミノクロウサギ Amaminokurousagi appearing in an ammunition depot

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新しい年になったけど、べつにおめでとうというほどのことでもない。それでも卯年になったからウサギだ オレたちは空っぽの倉庫に行き着いた。                               旧日本軍が南西諸島や南方防衛のための弾薬を保管していた倉庫だったが、終戦の武装解除のときに大量の弾薬がここから運び出されて廃棄され、今は空っぽになっている。内部は網の目に組まれた鉄骨が分厚いコンクリートで固められ、壁が二重構造なので外部から入るとひんやりする。           …

粒子であると同時に波動でもある It’s both a particle and a wave. 

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                                           色は記憶に結びついている。それはひとの記憶だけではなく、もっと古層の生物としての記憶である。 生物の目は先カンブリア紀の5億4400万年前から5憶4300万年前の100万年間に誕生したという。回折格子*といわれる、生物にそなわった反射多層膜から反射される構造色を感知するようになった初期の目は、捕食とそれから逃れる両方の意味があった。そうであるならば、色というものが生物にとって深く感情と結び…

C通信  COVID-19 TRANSMISSION DRAWINGS  Exhibition          

コロナのパンデミックとともに始まったC通信がNo.83で完了し、その展示をすることになりました。サイトではすでに「C通信」としてアップしているものですが、約150点のドローイングと39000字のテキストからなり、会場では冊子とインデックスによって全体を見ることができます。展覧会詳細はこのサイトのNEWS、または GALLERY MoMo のサイトから。 《C通信ドローイング》の構造について 山本和弘  長沢秀之の《C通信ドローイング》の第一の特質は、焦点のボケた画像であるこ…

C通信84 岩石 GANSEKI

(つぶやき、または声に出して) かいかせき、せんりょくがん、れきがん、くろうんもかこうがん、せきえい、れきせいたん、かってっこう、かざんれき、ほるんへるす、きせきあんざんがん、さがん、けつがん、すいしょう、かっせき、ほたるいしはくうんも、じゃもんがん、ふがん、せきぼくへんがん、ぎょうかいがん、だいりせき、ほうえんこう、げんぶがん、りゅうもんがん、こうようせき、せっこう、ちょうせき、じてっこう、ねんばんがん、ぼーきさいと、おうどうこう、おうてっこう、きんこう、まんがんこう、む…

C通信46 がらんどう Mr.U and the empty eyes

そこの人たちの眼はがらんどうで、そこから向こうの海の風景が見えた。 The eyes of the people there were blank, and from there I could see the seascape beyond.