展覧会カタログ<カタログ>テキスト:椹木野衣「夢はなにからできているのか」下記参照                   NECROPOLI – ISlAND    C-Transmission Drawings Ⅱ  

夢はなにからできているのか ――長沢秀之『C通信』のボディ 椹木 野衣  2022年の秋になんの前知識もなくギャラリーMoMo長沢秀之「『C通信』-目の記憶-」を見たとき、とても奇妙な感覚がしたのを覚えている。その感じをうまく言葉にするのは難しい。ただ、感じたままに言えば、会場に一歩入った瞬間、なにか外の世界と位相がずれているような気がしたのだ。もちろん外の空間から独立した美術の展覧会なので、多かれ少なかれそういうところはあるのだけれども、ここでわたしが言いたいのはそういう…

C通信 C-TRANSMISSION DRAWING Exhibition (展示報告)

 展示雑感 今回の展示は、ウェブで公開し、映像でもあるので、画廊でプリントアウトしたものをわざわざ見る必要もない、という意見もある。でも実際に見たら、ウェブ上で公開されたものとはかなり違っていることを体験できると思います。それこそがボディーにふれるということなんです。現物と想像力は背反しない。想像力が、あふれる画像と相まって、透明なほう、透明なほうへと追い込まれていくのですがそれは違う、と。画像投影は大流行りですがやはりそこにボディーはないと思うのです。環境があって、周りの…

「C-通信」ドローイング展 C-TRANSMISSION DRAWINGS / GALLERY Momo (9/10-10/15) (終了)

《C通信ドローイング》の構造について 山本和弘  長沢秀之の《C通信ドローイング》の第一の特質は、焦点のボケた画像であることだ。不鮮明な画像といってもよい。それはシャープで、鮮明で、瞬時につくられる近代主義的な画像への根源的な批評を内包している。近代の中でも産業革命による物資の大量生産と写真の発明による同一画像の大量反復は、視覚表象を言語表象よりも重視する社会へと変貌させた。国や民族によって異なる言語ではなく、非言語的なビジュアル・コミュニケーションの方が国境などの壁を難な…

C-TRANSMISSION DRAWINGS 9/10-10/15 Gallery MoMo

展覧会情報

C23 遠い惑星からの手紙 Letter from a distant planet 「1000年あとの記憶」から>>>> 宇宙船「オリヅル」号はいま中継の惑星に到着し、異星人の出迎えを受けています。母船には人間数名と多数のアンドロイドが乗船していましたが、人間はすべて発狂してしまいました。そのなかでも日本人乗組員は発狂するのが遅く、植物的な体質だとか、順応しやすいのが原因とか言われましたが、最終的には他に遅れること数年で、やはり発狂してしまいました。 もっともこれは予定通りのことだったようです。この場合の“人間”も“発狂”も地球上の基準だったのです。地球上では人間の脳は10%(*註)しか使われておらず…

「C-通信」ドローイング展  9/10-10/15  C-TRANSMISSION DRAWINGS / GALLERY MoMo(Closed on Sunday, Monday, National holiday)

色は記憶に結びついている。それはひとの記憶だけではなく、もっと古層の生物としての記憶である。 生物の目は先カンブリア紀の5億4400万年前から5憶4300万年前の100万年間に誕生したという。回折格子*といわれる、生物にそなわった反射多層膜から反射される構造色を感知するようになった初期の目は、捕食とそれから逃れる両方の意味があった。そうであるならば、色というものが生物にとって深く感情と結びついていることが納得される。それは生きるか死ぬかの瀬戸際にあるものなのだ。生きものの記…

長沢秀之に聞く 対話「私が生まれたとき」プロジェクトとは何だったのか  服部正  / 民俗藝術学会誌 arts/ vol.38 

対話「私が生まれたとき」神戸−25年あと(未来)の記憶 展のことが民俗藝術学会誌の<報告>に取り上げられています。インタヴュー形式の文章と画像で構成、筆者は甲南大学教授服部正さん(美術史、芸術学) arts38-end_3-1-report_Hattori-2ダウンロード

対話「私が生まれたとき」神戸 -25年あと(未来)の記憶-  カタログテキストー市川政憲

市川政憲テキストダウンロード ・・・そこから彼に触れてくる死者の眼差しへの応答として彼の素描はある。・・・素描において長沢は、一人のデクノボウ、非人称の身体として、機械のように、身体なき死者の身になって応答する。        展覧会サイト⇩ https://taiwa-kobe.official.jp/

「未来の幽霊」展 [2017] カタログテキストー山本和弘

展覧会情報

長沢秀之の新しい絵画についての一考察 山本和弘 距離という距離をあわただしく除去したところで、近さはけっして生じない。                     —マルティン・ハイデガー『一九四九年ブレーメン連続講演』[i] はじめに  パリのマルモッタン美術館にあるクロード・モネの絵画《印象、日の出》の正面やや離れた位置にひとつのベンチが置いてある。近づいて画家の筆遣いや絵具の肌理などを熟視した後にこのベンチに腰を下ろすと、画面がさざ波のように揺れ出す瞬間に私たちは立ち会う…

展覧会再開と最終日中止

展覧会情報

対話「私が生まれたとき」神戸 25+1年あと(未来)の記憶 展が最終日に中止となった。国の緊急事態宣言の発出により、神戸市管轄のKIITOが休館を決定、ギャラリーCでの展示も中止となった。この展覧会はもともと昨年の5月に予定していたものだったが、やはり緊急事態宣言によって中止となり、その後「文化芸術活動の継続支援事業」の補助を得て今年の2月に再開予定するも感染拡大で再延期、ようやく5月に再開が決まったいきさつがある。コロナに始まってコロナに終わった展覧会であったが、こうした…