宇宙人の目をもったピーター

美術関連

7月3日アートコミュニケーションゼミはピーター・マクドナルドのプレゼンテーション。ピーターは1973年東京生まれで、現在はロンドンが活動拠点である。最近の仕事ではロンドン地下鉄の巨大な壁画を描いたことで話題になったアーティストである。日本には年に2、3回来るということで、今回はAITのプログラムで来日したところをスタッフの池田哲さんから紹介してもらい、作品のプレゼンテーションを行うことを了承してもらった。 会ってみるとものすごい好青年、こどもの頃日本で育ったということもあり…

伊能忠敬の地図に上、下はあるのか?

美術関連

 地図はどちらを上、どちらを下と見たらいいのだろう。もちろん東西南北はあり、普通は北が上となり、南が下となるのだろうが、これも実際のところ根拠はない。たぶん飛行機のパイロットはこのことを一番よく知っているはずで、地図を上下なく、つまり地球規模で見ることができる人たちなのだろうと思う。 そんな見方を今から200年も前に可能にした人がいる。伊能忠敬である。彼のつくった日本地図は大図、中図、小図とあるがその中図の展示が国立博物館であった。(8月17日まで) 絵のように美しくきれい…

2014年「GODZILLA]

日常

2014年「GODZILLA」  アメリカの映画「GODZILLA」が公開されている。これを撮ったギャレス・エドワーズ監督が日本の1954年「ゴジラ」に並々ならぬ敬意を抱いていると聞いていたので少し期待しながら見に行った。  「ん、なにこれ?」が、見終わった時の印象だ。アメリカではヒットしたらしいが、私はそれがわからない。  まずゴジラの造形がよくない。太ももや足は日本のゴジラの影響を受けて太くどっしりしているが、顔が魅力的でない。制作にあたって、「犬や熊の顔を研究し、また…

RISD学生とKAKEHASHI Project

授業

  KAKEHASHI Project は国際交流基金が外務省から受託している学生クリエーター交流事業のことだが、ムサビからの応募が採用されその最初のステップとなるロードアイランドスクールオブデザイン(略してRISD)の学生たち12名(プラス教員1名)が6月17日18日の両日大学を訪れた。一行はデザイン系とアート系の二手に分かれ、私たちファインアートのグループには5人の学生が来た。  はじめにその人たちの自己紹介と作品紹介を簡単にすませた後、一日目の予定になっている大学院の…

Tamiko O’Brienさん

美術関連

  4月から「アート コミュニケーション」という授業を持つことになった。学生が自分の作品を英語で語る、または来日アーティストの英語でのプレゼンテーションを聞いて話し合う、というものである。これにはムサビが採択された「グローバル人材育成事業」と「KAKEHASHI project」が絡んでいる。その詳しい説明と、なぜ今英語なのかという出発点での問題はここでは省略する。  この授業の第二回目(5月22日)のGuest Lecturer「Tamiko O’Brien」のことから話…

「大きいゴジラ、小さいゴジラ」川越市立美術館(展示のポイントはNewsから)

美術関連

 2012年8月の「大きいゴジラ、小さいゴジラ」展の時はみんながうなされるようにゴジラを描きまくった。それは震災からまだ間もないということもありある種の共感意識が芽生えたせいかも知れない。  それから一年半、震災からは3年となる今回の展示はちょうどゴジラ誕生から数えて60年になる節目の年でもある。そんなことを知らずに2008年に描いたゴジラの絵がきっかけとなりここまで多くの人が参加する展示になったことに正直、驚いている。  ここで展示に至った経緯を簡単に述べておきたい。  …

パン屋さん、ムサビ修了、卒制(2014)

美術関連

 2月25日から川越市立美術館で開催される「大きいゴジラ、小さいゴジラ」の準備で忙しい。今回はわたしが企画・総合制作のような役割を担っているので総勢30名ほどの武蔵野美大生への作品指示やコンセプトの作成などで毎日フル回転の状態だ。詳しくは「お知らせ」を参照して欲しいが、その準備のためにこのブログが少し休止状態になっているのが残念である。   最近読んだ本で感銘を受けた『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』のことももっと早くとりあげたかった。こんな生き方ができたら最高だと思わ…

保坂毅展

美術関連

 保坂毅が清澄白河のアルマスギャラリーで展示をしているので初日(1/18)に見に行った。  正面の作品がおもしろい。縦長の3点の作品は縦のストライプ、同じ半円形の繰り返しとその隙間を埋めるグレイのグラデーションから成り立っているが、グレイの微妙な明暗の違いによって半円形の反復が変化あるものに見えてくる。  縦長の物体が妙に生々しく見えてくるのだ。  保坂の作品は、いつも反復から生まれる微妙な変化がこちらの視覚の思い込みを裏切ってそこにあり得ない現象を引き起こす。その裏切りが…

蔵と現代美術展ー川越

美術関連

 地元の川越で「蔵と現代美術展」ーキラキラヒカルーという展示が開かれている。キュレーターが長谷川祐子氏ということで興味津々見にでかけたが、期待に違わずおもしろい展示であった。  仲町観光案内所での荒神明香は事故現場で拾ってきたガラス破片などを集めてシャンデリアをつくっていた。キラキラ光るものものの背後にある人間のドラマが生々しく痛い。けれども美しく輝いている。想像力の強さとつくることの原点を感じる作品だ。それは震災以降の想像力と無縁ではあるまい。  次は亀屋栄泉の二階にある…

絵の始まり「ターナー展」

美術関連

 今回のターナー展では“絵の始まり”を見ることができる。 「カラービギニング」といわれる一連の水彩の習作があるが、それは油彩作品をつくるための習作であって発表を意図してつくられたものではないらしい。が、この一連の作品が今回の展示の最も現代的で刺激的な部分であることは間違いない。「さあここから絵が始まりますよ」と示されているような驚きがあり、色彩の始まりのみならず、どのようにして一枚の紙から絵ができるのか、その秘密が解き明かされているようだ。  水彩のはしの部分を見るとよい。…