C通信 102: 会話 つづき

ひとの姿をとらないときのアセファル宇宙人 アセファル宇宙人  「だから、問題はこれを受け取る側にあるんだ。生成AIがつくった線なり絵を好む人間もでてくるだろう。人間のもつ曖昧さや微妙さを嫌う人も必ずいる。  それよりもむしろ体を失う事態が急激に進行しているから、そのような傾向は自然なのかもしれないな。生成AIの発達と体を失うことはパラレルに進行していくことなんだ。アセファル惑星でも同じことが起こり、一部のものはそうした事態に抵抗して脳第一主義をやめたんだ。脳の延長方向だけの…

C通信 101: アセファル宇宙人会話、生成AI

*アセファル宇宙人について:C通信48参照 かたちをもたないであらゆるものに入り込む。着ぐるみのキャラのなかや容器のようなもの、さらにことばや音のなかにも入り込む。 アセファル宇宙人  「最近はにんげん人の世界にかたちをもたない“生成AI”が出てきた。こちらもかたちがないからよく間違われるけどちょっと違う。もっと根本的なことで言うと、“あらゆる文明はかたちを失う”というのがアセファルの惑星の結論なんだ。もちろんどの惑星の文明も道具を発明しそれを利用してきたから、それはかたち…

C通信100: Dogwave

  物質の構成要素としての粒子の集まりがなぜ生命体となったのか? その粒子のひとつひとつが原意識のようなものをもっているのか? 意識というものは量子的宇宙に生じる物理的特質のひとつなのか?

C通信99: あらゆる文明はかたちを失う

・・・“あらゆる文明はかたちを失う”というのがアセファル惑星の結論なんだ。もちろんどの惑星の文明も道具を発明しそれを利用してきたから、それはかたちとして残っている・・・だけど、高度になるにつれてそれを使う主体がなくなってくるんだ。アセファル星でもそうだった・・・

C通信 98: いること、あること

生きものはいるのであってあるのではない。あるのはものであり命を持たないものだ。犬がそこにいる。石がそこにある。しかし植物はそこにいるのではなくそこにある。珊瑚は動物なのにそこにある。百舌がいる。ライオンがいる。オタマジャクシがいる。その卵がある。テレビがある。テレビのなかに人がいる。モナリザの絵がある。絵の中に人がいる。お月さまがいる。お天道様がいる。神さまがいる。太陽がある。ウイルスは元は生命なのに今はもの、これはいるのかあるのか?細菌はいる?腸内微生物はいるが腸はある。…

C通信 97: 珊瑚、岩石、アセファル宇宙人

珊瑚「アー、にんげん人ってなんなのよーっ、命の大切さばかり言って・・そのわりには平気で殺し合いをするんだから・・・しかも武器を使って殺したりする・・・どうなってんの?」 岩石「ムー、おれたちの何億年の時間から見たら、今はにんげん人がはびこっている特殊な時期なのかもしれねえな。たしかにあいつらいつも命、命だ。生命体なんだからしょうがねえにしてもなあ。おれたちはそこじゃあ命がない無生物っていうことになるんだけどさあ、たとえばカルシウムが超新星爆発で生成されて今は生命を支える骨と…

C通信 96: 放散虫と石 Radiolaria and Stone

 アセファールは石になることを実行に移す。ヒントになったのは放散虫とチャートの関係である。放散虫は小さなアメーバ状の体のなかに、二酸化珪素(=SiO2)の骨格を持つ原生生物で、死んだあとに海底に堆積した骨格が長い年月を経てチャートになる。カルシウムではなくガラスの骨格なのだ。チャートの主成分は二酸化珪素で、石英と同じく無色透明だが、含まれる不純物によって色が変わる。よく見られる赤いチャートは鉄分によってその赤色を得る。  アセファールが注目するのは放散虫の堆積速度である。無…

C通信 95: 三つ目の岩石小僧、タイタンの爆縮、圧力

:三つ目の岩石小僧  こっちの世界から見たらあっちはおかしいぞ。                 タイタンとかいう潜水艇が大きな水圧でつぶれてにんげん人5人が死んだらしいな。エクストリームツーリズムとかいうらしいけど、どうしてそこまでして海底に沈んだ船を見たいのか、気が知れないよ。しかもタイタンは実験的にカーボンファイバーでつくられていて、これが構造的な欠陥だったといわれている。もしもの事故の際に知らせる手段も構造も無しに潜水して、小さな亀裂から爆縮圧壊したらしい。タイタニ…

C通信94 : 山がうたう The mountains sing

顔をもった山が現われた。山はうめくような低い声で何かを言い出した・・・というかこれはうたなのか? 山は行く おれたちは運動をしているのさ マグマからかんらん岩、かんらん岩が沈んで玄武岩、玄武岩が溶けてさらに軽い花崗岩 あるいは玄武が変成、緑色岩 山は行く 石灰岩は珊瑚やフズリナの堆積から チャートは放散虫の堆積から そんなこんなで数億年 山は行く 35億年前超新星爆発 生成されたカルシウム 血液鉄分 元はやはりチョウシンセイバクハツー

C通信93 : マイロナイト Mylonite

C通信

第三章 マイロナイト ネクロポリの死者から見たら岩石も生きている。生者から見れば無生物、ただの岩石でしかないものがまるで人のように生きていてその存在の光を放っている。 マイロナイト岩石は断層のなかで生きてきた。地上から10キロメートルから15キロメートルの深い地中のなか、300度を超える高温、高圧のなかでその一部の鉱物が再結晶しながら流動してこの岩石が誕生する。 もともとは花崗岩ではあるが高温と凄まじい圧力でそれに含まれる石英などが細かい粒子としてずれて伸ばされる。大きなか…