最古の化石人類は約700万年前のサヘラントロプス・チャデンシス(下段)。このころ、直立二足歩行を始め、人類の祖先はチンパンジーの系統と分岐する。しかしその脳容量はチンパンジーとさして変わらなかったようだ。初期の人類が生きていたころに地球上で最も知能が高かったのはイルカらしい。しかし200万年前ぐらいにホモ属が現れるとともにその脳容積は増大する。人類の進化は簡単に猿人から原人、旧人、新人へとなったと言われるがそんなに簡単なものではなく、猿人と原人の時期は重なってもいる。
上段の左は170万年前のポイセイ猿人、その右2番目は180〜150万年前のロプストス猿人。両者ともホモ属ではなく、バラントロプス属に分類され、頑丈型猿人と呼ばれ絶滅したと考えられている。190〜150万年前には北京原人やジャワ原人の総称ホモ・エレクトスが現れるもこれも絶滅。時期が重なるなかで約43万年前のアタプエルカ旧人(上段3番目)や40万年前のアラゴ旧人(上段4番目)が現れる。旧人はネアンデルタールやデニソワ人も含めて絶滅してしまったが、新人(ホモ・サピエンス)との交雑はあったと考えられている。地球上にはさまざまな人類がいて、何十万年、何百万年もの時間のなかで現われては消えていった。最後に残った現生人類であるホモ・サピエンスの歴史は約20万年ほどでしかない。脳の発達で進化してきた人類は、いまそれをデバイスやAIなど外部脳への接続に置き換えようとしている途上にある。ホモ・サピエンスは新たな分岐点をむかえようとしているのだろうか。
*参考文献:「宇宙からいかにヒトは生まれたか」更科 功 著 新潮社
「人類の起源」篠田 謙一 著 中公新書
ミイラになったのは新人