C通信 113: 土は知っている

C通信 113: 土は知っている

2023年11月2日

 

なぜアメリカを相手にしたら勝ち目はないとわかっていながら開戦にいたったのか?それは日露戦争から始まる、ロシアに対する脅威、中国民衆の反日感情への見誤り、英米の対応への見誤り、軍部の暴走、日本国内の熱狂もある。そうした失敗を反省し、その責任を取ること、それがない。

東条「撤兵問題は心臓だ。米国の主張にそのまま服したら支那事変の成果を壊滅するものだ。満州国をも危うくする。さらに朝鮮統治も危うくなる。支那事変は数十万人の戦死者、これに数倍する遺家族、数十万の負傷者、数百万の軍隊と一億国民が戦場や内地で苦しんでいる」「駐兵は心臓である。譲歩、譲歩、譲歩を加え、そのうえにこの基本をなす心臓まで譲る必要がありますか。これまで譲り、それが外交とは何か、降伏です」

こうして東条は今までの戦死者や莫大な戦費をつぎ込んだゆえに撤退しないと言う決断をした。その道義的責任には言及しない。侵略地の犠牲者は頭にない。これはばくちで失敗して、それを取り戻そうとしてさらに巨大な損失を抱えてしまうようなものだ。

インパール作戦が失敗したあとのビルマ戦線で敗戦を過ぎたあとまでも戦死者は増えた。軍上層部はラングーン死守を命じながら自分たちは飛行機で逃げてしまい、残された兵士と民間人が圧倒的なイギリス軍に殺された。上層部の腐敗。日本軍の致命的な欠陥、「道徳的な勇気の欠如」と英国司令官は言った。