RISD学生とKAKEHASHI Project

授業

  KAKEHASHI Project は国際交流基金が外務省から受託している学生クリエーター交流事業のことだが、ムサビからの応募が採用されその最初のステップとなるロードアイランドスクールオブデザイン(略してRISD)の学生たち12名(プラス教員1名)が6月17日18日の両日大学を訪れた。一行はデザイン系とアート系の二手に分かれ、私たちファインアートのグループには5人の学生が来た。  はじめにその人たちの自己紹介と作品紹介を簡単にすませた後、一日目の予定になっている大学院の…

Tamiko O’Brienさん

美術関連

  4月から「アート コミュニケーション」という授業を持つことになった。学生が自分の作品を英語で語る、または来日アーティストの英語でのプレゼンテーションを聞いて話し合う、というものである。これにはムサビが採択された「グローバル人材育成事業」と「KAKEHASHI project」が絡んでいる。その詳しい説明と、なぜ今英語なのかという出発点での問題はここでは省略する。  この授業の第二回目(5月22日)のGuest Lecturer「Tamiko O’Brien」のことから話…

「大きいゴジラ、小さいゴジラ」川越市立美術館(展示のポイントはNewsから)

美術関連

 2012年8月の「大きいゴジラ、小さいゴジラ」展の時はみんながうなされるようにゴジラを描きまくった。それは震災からまだ間もないということもありある種の共感意識が芽生えたせいかも知れない。  それから一年半、震災からは3年となる今回の展示はちょうどゴジラ誕生から数えて60年になる節目の年でもある。そんなことを知らずに2008年に描いたゴジラの絵がきっかけとなりここまで多くの人が参加する展示になったことに正直、驚いている。  ここで展示に至った経緯を簡単に述べておきたい。  …

パン屋さん、ムサビ修了、卒制(2014)

美術関連

 2月25日から川越市立美術館で開催される「大きいゴジラ、小さいゴジラ」の準備で忙しい。今回はわたしが企画・総合制作のような役割を担っているので総勢30名ほどの武蔵野美大生への作品指示やコンセプトの作成などで毎日フル回転の状態だ。詳しくは「お知らせ」を参照して欲しいが、その準備のためにこのブログが少し休止状態になっているのが残念である。   最近読んだ本で感銘を受けた『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』のことももっと早くとりあげたかった。こんな生き方ができたら最高だと思わ…

保坂毅展

美術関連

 保坂毅が清澄白河のアルマスギャラリーで展示をしているので初日(1/18)に見に行った。  正面の作品がおもしろい。縦長の3点の作品は縦のストライプ、同じ半円形の繰り返しとその隙間を埋めるグレイのグラデーションから成り立っているが、グレイの微妙な明暗の違いによって半円形の反復が変化あるものに見えてくる。  縦長の物体が妙に生々しく見えてくるのだ。  保坂の作品は、いつも反復から生まれる微妙な変化がこちらの視覚の思い込みを裏切ってそこにあり得ない現象を引き起こす。その裏切りが…

蔵と現代美術展ー川越

美術関連

 地元の川越で「蔵と現代美術展」ーキラキラヒカルーという展示が開かれている。キュレーターが長谷川祐子氏ということで興味津々見にでかけたが、期待に違わずおもしろい展示であった。  仲町観光案内所での荒神明香は事故現場で拾ってきたガラス破片などを集めてシャンデリアをつくっていた。キラキラ光るものものの背後にある人間のドラマが生々しく痛い。けれども美しく輝いている。想像力の強さとつくることの原点を感じる作品だ。それは震災以降の想像力と無縁ではあるまい。  次は亀屋栄泉の二階にある…

絵の始まり「ターナー展」

美術関連

 今回のターナー展では“絵の始まり”を見ることができる。 「カラービギニング」といわれる一連の水彩の習作があるが、それは油彩作品をつくるための習作であって発表を意図してつくられたものではないらしい。が、この一連の作品が今回の展示の最も現代的で刺激的な部分であることは間違いない。「さあここから絵が始まりますよ」と示されているような驚きがあり、色彩の始まりのみならず、どのようにして一枚の紙から絵ができるのか、その秘密が解き明かされているようだ。  水彩のはしの部分を見るとよい。…

絵と絵の距離 ー「戦争/美術」展から

美術関連

 絵画の距離(見る時の)についてはすでに2013/3/15のブログでとりあげたが、絵と絵の距離については今回が初めてである。こんなことを考えたきっかけは神奈川県立近代美術館で開かれていた「戦争/美術」という展覧会を見たからに他ならない。(7月6日—10月14日)  この展覧会には今まであまり見たことがないいい作品が出ていた。画家靉光の紙本淡彩によるうす塗りの人物像や、墨の濃淡が二重像として見える<鷲と駝鳥>など、今まで私が思っていた画家のイメージを覆す作品も多い。丸木俊の紙…

菅亮平と河合真里の展示(トーキョーワンダーサイト)

美術関連

 久しぶりにトーキョーワンダーサイト本郷に行く。長沢クラス出身の菅亮平と河合真里が3階、2階で同時に展示している。こんなことは滅多にない。偶然そうなったらしいのだが、ふたりとも今までの作品は見ているので興味をもって見に行った。まず菅亮平の作品。  実際に作品の前に立つと作品のもつ“空間のサイズ”にめまいを感じる。それはミニチュアの克明な模型を撮った大きな写真なのだがなんか変なのだ。 自分が人間でなくなったような、ネズミや昆虫になったような、いやただの石ころになったような気も…

『心霊教室』

美術関連

  「ムサビる!」への参加は今年ですでに3回目、教室で展示するおもしろさに目覚めてしまったのかもしれない。美術館でも画廊でもなく、ましてや展示空間でもない教室での展示はそこの“場”ならではの展示と発想を必要とする。それがわたしをひきつける理由なのだろう。  その場所の名前そのままに今回は「心霊教室」。わたしの描いた心霊写真的ドローイング(心霊線画!?)に学生から募った言葉を添えてもらうことになった。ドローイングと言葉とのコラボレーションである。  その際にわたしがお願いした…