C通信93 : マイロナイト Mylonite

C通信

第三章 マイロナイト ネクロポリの死者から見たら岩石も生きている。生者から見れば無生物、ただの岩石でしかないものがまるで人のように生きていてその存在の光を放っている。 マイロナイト岩石は断層のなかで生きてきた。地上から10キロメートルから15キロメートルの深い地中のなか、300度を超える高温、高圧のなかでその一部の鉱物が再結晶しながら流動してこの岩石が誕生する。 もともとは花崗岩ではあるが高温と凄まじい圧力でそれに含まれる石英などが細かい粒子としてずれて伸ばされる。大きなか…

C通信 92 : 死者の招喚

   1923年、関東大震災で旧陸軍被服厰に避難し火災旋風によって焼死 1945年、特攻隊少年飛行兵として戦死 1945年、ひめゆり学徒として動員され、砲弾に当たって死去 1961年、大鹿村大西山の崩壊(三六災害)のがけ崩れで死去 

C通信91 : 岩石人が登場

岩石人は生きものではないがひとのかたちをしている。岩石人は主に6つの主要な造岩鉱物である石英、長石、黒雲母、角せん石、輝石、橄欖石とそのほかの副成分鉱物からなる。死者だけがこの姿を見ることができる。

C通信90 : ボディープロレス,あるいは死者のための肉体の奉納

  かざらないプロレスはうつくしいにくたいがからみあったすがたはこうごうしくもあるプロレスラーはあいてとおしあいへしあいしながらかたちをつくるにくたいのあらゆるぶいをそうどういんしてあいてをぶちのめしながらきづかいあいてをだきしめながらなげとばしのうではくからだできりひらく

C通信 89: 死者の町 ネクロポリ

第二章 死者の町 ネクロポリ Necropoli  ネクロポリは小高い丘の上にあり、あたりはしーんと静まり返っていた。  何もない空間に道が浮かんでいて、それをたどっていくとネクロポリの入り口に着くようになっている。ウサギの前を、無言の死者たちがうねるような列をつくって町のなかへと入っていった。西のかなたにあるこのネクロポリは圧倒的に戦争の犠牲者が多い。戦争とは公の殺しあいである。だからその死者たちは、殺したほうも殺されたほうもその理由を知りたがっていた。生者の戦争の論理は…

C通信88:月のウサギが転送される

月のウサギが地球に転送された。計画は達成されたがひとつ問題があった。転送されたところが戦争地帯で、あたりには砲弾が鳴り響き、大地には月と同じようなクレーターができていた。ウサギは荒野を逃げまくった。ウサギの大きなミッションは死者の国の前に立つことである。そうして死者を迎えるのだが、ここではそれが逆転しまっていた。おびただしい数の死者がウサギを待ちわびていた。ウサギは荒野を走った。

C通信87: 月面上空のオリヅル号

宇宙船は月面上空で3次元のオリヅル号となって現われる。 着陸の後、ウサギの影を送るためのシダ型アンテナが設置された。

C通信86 : 2次元にもどってやり直す

第一章 月のウサギを運ぶ 月のウサギは影に過ぎないが、影があるからには実体がある。この計画は2次元の影を地球に移送し、実体化する計画である。宇宙船はまず2次元上で月に行く。

粒子の集合体 Aggregation of particles

粒子の集合体としてしての人間、 物質の構成要素としての粒子の集まりがなぜ生命体となったのか? 意識は量子的宇宙に生じる物理的特質のひとつなのか? ひょっとすると粒子のひとつひとつが意識のようなものをもっているのではないか。 あるいは粒子であり波動でもあることが、生の始まりとなるのか? The human being as a collection of particles,How did a collection of particles as the building b…

C通信  C-TRANSMISSION DRAWINGS  Exhibition          

コロナのパンデミックとともに始まったC通信がNo.83で完了し、その展示をすることになりました。サイトではすでに「C通信」としてアップしているものですが、約150点のドローイングと39000字のテキストからなり、会場では冊子とインデックスによって全体を見ることができます。展覧会詳細はこのサイトのNEWS、または GALLERY MoMo のサイトから。 《C通信ドローイング》の構造について 山本和弘  長沢秀之の《C通信ドローイング》の第一の特質は、焦点のボケた画像であるこ…