アセファルは着ぐるみのなかにいた。ただ日常は台所の炊事用ゴム手袋のなかにいて石化の準備と練習をしていたようだ。アセファルから見ると着ぐるみや手袋は特別な存在で、地球人の言う生物、無生物の区別を無効にするものであった。だからまずは日常にあるゴム手袋のなかで石化の実験を始めた。
アセファルによるとにんげん人の石化も参考になると言う。かつての小学校の校庭にあった二宮金次郎像のヴァリエーションはアセファルを驚かせた。アセファルはこれを燃料を背負って空中飛行をする少年がそのマニュアルを見ているところだと考え、空中飛行の原点を示すものとして称賛した。また飛行本体に身体を運ばせるのではなく、身体にその道具を同化させている点でも、ボディーのあり方の本来的なものが見えると言って感嘆した。