C通信10.-未来の記憶 Memories of the future

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声が聞こえてくる。大きな声ではなく弱々しい声がそれぞれのコロナスーツの中に響き渡っていた。「不自由をみずからのものに… もっと暗闇を… もっと引きこもりを… 選ぶのではなくくじ引きを… もっと笑いを… もっとことばを… もっとストライキを… 政治家ではなく政治を… ギャンブルではなく命を賭けて… 」 カコ? それはいつのことだろう?キオクが飛んでしまっているからわからない、というか自分というのもわからない。未来の記憶ならある。今から遡るのか進むのか、千年以上もあとの世界。人…

C通信8.-記憶喪失前 Before memory vanishes

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死の最前線でたたかったひとびと 一緒にいた友人は次の一節を読み上げた。 「人類は文明を超えて生きのびなければならない。人類は建築や絵画や小説のなかでそのときに備えている。ここで肝心なことは、人類がこの準備作業を笑いならおこなっている、ということである。この笑いはときには野蛮にひびくかもしれない。それでいいのだ。」

C通信-6. トンネル Tunnel

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4000000000300000000020000000050000000       1347       1854       1918       1976       2002       2012       2020

C通信-4. 生物と無生物 The new coronavirus is not a living organism.

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一緒に機外に出た友人は、いつの間にか別人になってウイルスのことを説明し始めた。それによると、ウイルスはDNAやRNAなどの核酸が、タンパク質の殻に包まれた構造を持っているが、生物ではないので死ぬことはないと言う。 私は以前見た「アンドロメダ病原体」の映画に出てくる結晶状の構造物と、庭に毎日飛んでくるジョウビタキ(鳥)が合体したようなものを想像した。    

C通信-1. 不時着 Emergency Landing

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飛行機は飛び立ってまもなく何も理由なく不時着した。窓からは、かつて遊んだ故郷の川の水の流れが見える。違う!もっともっと大きい川。窓から見ると激しい水の流れと橋のようなものが見える。私は友人と一緒に機外に脱出した。