C通信18.- AIとレンブラント AI & Rembrandt

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ひとウサギの部屋の前で、“ボディがない”という理由でそこに入ることを拒絶されてしまったおれたち。そうしてここは、死者が本当に死者になるための準備の場所であることを知った。 ところで“バラを見る”とはどういうことか?バラの情報をすべてカットして素顔のバラを見ることは可能なのか?バラの情報なしにバラを見ることはできない。したがって素顔のバラというものもない。認識の外に存在するのは“もの”にすぎない。情報があらゆる端末につながり、認識の網の目をかぶせる時に、“もの”はそれをかいく…

C通信17.- 異常な正常でバラの蕾が Abnormal normality

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 再びコロナスーツを着たひとたちがいた街に入る。ところが今回はあまり人がいない。「28日後…」のロンドンの街のように… ここでは政治というものが医療崩壊以上に壊滅的な様相を見せていた。地方政治の一部は機能していたが、それを束ねる国の政治家たちは、ただうつろな目で官僚のつくった声明を読み上げ、意味のないことばを発していた。 人に届くことばを知らないかわいそうなひとたち、この人たちは長年にわたって制度上のきまりは仕切ってきたので、そうしたことばは発信できたが、対話、議論、論戦な…

C通信16.-ローマの夢の記憶 Memories of a dream of Rome

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Gladiator…Colosseo… 剣闘士同士が闘う闘技会の前に、闘獣士が登場し、さまざまな方法で野獣を殺す「野獣狩り」がおこなわれた。互角の闘いには観客も熱狂した  …しかし、絵はいったいなにを描きたいのか? だがこれは夢ではなく現実に起こっていることだ。コロナ禍で貧困層の死亡率が高い。われわれはテレビでそれを見てしまっている。多くのひとが現代の野獣狩りを見ている。 Romulus & Remus

C通信15.- 震災、黒死病 Lisbon earthquake, Hanshin earthquake, Black Death

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一緒に行動してきたソイツは、オレを死者の国に導く水先案内人のような存在だということがわかってきた。ソイツの祖先は、17世紀の日本の鎖国令によってマカオに追放されたポルトガル人と、当時のアジアにいくつかあった日本人町にいた日本人女性の間に生まれたこともわかったが、後にその祖先がどのようにして南の島にたどりつき、そこで生まれたソイツが今の仕事をするようになったか、詳しく聞くことができなかった。 ソイツはオレが1995年生まれらしいと聞くと、その年に日本で起こった震災や2011年…

C通信13.-墜落または… Was it a crash?

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covid-X で飛んでしまった記憶を少しでも組立てなおそう。たしか乗った飛行機が不時着して友人と脱出したはずだが・・・・ ひょっとしてそれは墜落だったのでは? そこで死んでしまったのか・・・・・・ 1995年に生まれた、と聞いたことがある・・・・・・ いやもっと昔、侍たちに囲まれて生まれた・・・・・・・

C通信12.-ひとウサギ Human Rabbit

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The human rabbit said, "This is the Kotatsu of the dead. You cannot enter here. Because you don't have a body. Now get out of here! ひとウサギは言った「ここは死者のこたつです。オマエらはここには入れない。なぜならばボディーを持っていないからだ。早く出て行け!」

C通信11.-回廊 Corridor

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おれたちは日本式廊下の天井にへばりつきながら、床に落下しないようにゆっくりと進んだ。そうしてたどりついたのは 零下もすさまじい真っ黒い座敷の部屋。ひとウサギたちがこたつに入ってひそひそと話をしていた。

C通信10.-未来の記憶 Memories of the future

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声が聞こえてくる。大きな声ではなく弱々しい声がそれぞれのコロナスーツの中に響き渡っていた。「不自由をみずからのものに… もっと暗闇を… もっと引きこもりを… 選ぶのではなくくじ引きを… もっと笑いを… もっとことばを… もっとストライキを… 政治家ではなく政治を… ギャンブルではなく命を賭けて… 」 カコ? それはいつのことだろう?キオクが飛んでしまっているからわからない、というか自分というのもわからない。未来の記憶ならある。今から遡るのか進むのか、千年以上もあとの世界。人…