大海を攪拌してもアムリタはなかなか現われなかった。ヴィシュヌ神の助けをへて神々はふたたび乳海を攪拌し、アムリタを獲得しアスラたちとの戦いに勝利を収める。
ここで重要なのはアムリタを飲んだのが神々(一部のアスラも飲む)だったということだ。神々は世界、宇宙の生成に関与するから死ぬわけにはいかない。一方、現代ではニコチンアミドモノクレオチド=NMNが老化を止める薬として実際にサプリとして販売されている。これはサーチュインという長寿遺伝子を活性化させる働きがあり、その効果がハダカデバネズミなどで実証されている。これらの研究に対して、それを求める富裕の人びとがさかんに投資をしているらしい。もちろん、これは不老不死の薬ではない。
「でも本当に不死となったら恐くない?」「それって究極の刑罰みたいなもんだよね?」どこまでいっても死ねないというのはやはりおそろしい。
上人「この世のあらゆるものは衰え、劣化し、朽ちる」
XX「秩序あるものは無秩序へ移行するということだな。未来は過去よりもエントロピーが高いから、その逆はありえない」
上人「ブラフマー(梵天)の一日は一カルパで43億2千万年じゃ。目覚めたときに世界は始まり、眠るときに世界は終わる。時間は人間が制御できるものじゃないわ」
XX「太陽は46億年経っている。それでいうといつごろ世界は始まったことになるんだ?」
上人「いや、カルパは14回も繰り返されるんじゃ。今は7回目なんじゃ。43憶2千万年ごとに世界は滅び、また再生されるんじゃよ」
XX「宇宙は138億年というけどな。始まりには時間も空間もない」
上人「宇宙から生まれた生きものにとって時間とは死のことじゃ。不死よりも重要なのは死なんじゃよ。破壊がなければ創造もない」