C通信 97: 珊瑚、岩石、アセファル宇宙人

C通信 97: 珊瑚、岩石、アセファル宇宙人

珊瑚「アー、にんげん人ってなんなのよーっ、命の大切さばかり言って・・そのわりには平気で殺し合いをするんだから・・・しかも武器を使って殺したりする・・・どうなってんの?」

岩石「ムー、おれたちの何億年の時間から見たら、今はにんげん人がはびこっている特殊な時期なのかもしれねえな。たしかにあいつらいつも命、命だ。生命体なんだからしょうがねえにしてもなあ。おれたちはそこじゃあ命がない無生物っていうことになるんだけどさあ、たとえばカルシウムが超新星爆発で生成されて今は生命を支える骨となっているように、無生物ってえのは生命の元なんだけどな」

珊瑚「わたしなんか、いつも無生物と生物の間を行ったり来たりよ。ほんとうは動物なんだけど、死んだら骨格で珊瑚礁までつくるんだから・・・そうして陸になってそこを通過した水がまた新たな生命を育んでいる。岩石さん、石灰岩はわたしたちの死骸だってことわかってるよねー」

岩石「もちろん、わかってるよ。珊瑚はいのちを象徴しているな。さわると褐虫藻のせいでぬるぬるしていてくさいけどさあ、これがジツに生きている証拠なんだな。骨格とポリープの関係はまるで地球の岩石とにんげん人のようだな。にんげん人は大きな視点で見れば惑星の岩盤に張り付いた褐虫藻のようなもんだ」

珊瑚「だからさ、生きているのも大切だけどあるのも大切なんだよ・・・あるだけでいいのよ。岩石のようにそこにあるだけでいいのよ」

岩石「嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。地中の奥深くで高圧力と温度のなかで変成してきた甲斐があるよ。いやそれこそがおれたちの輝かしいボディなんだけどな。珊瑚だってすごいよ。あんたのボディーも粒子の集まりが星をつくっているような感じがあるな」

珊瑚「原始的よね」

アセファル「・・・」