143: DEAD 子どもたち

143: DEAD 子どもたち

ウラシマタロウ

「生き残って助かった177名の人たちは、自分が無事だと沖縄の家族に手紙を書こうとしても対馬丸撃沈のことは絶対に口外しないよう、また手紙のことも近所に知らせぬよう厳しく禁じられたんじゃ。あとで知った家族が怒ることも禁じられたさあ。まったく上の奴らはどこまでバカを通すのか・・」

珊瑚

「生物の生死は宇宙の理で、生あるところに必ず死はやってくる。海の中でも生命循環があって、命が他の命を糧にして生死を繰り返すのはある。けれども人間が武器を持って殺しあうのは宇宙の理から見ても異常なことよ」

ウラシマタロウ

「そうじゃよ、海の向こうじゃまた戦争が始まって、ガザでは子どもたち1万3800人がイスラエルの軍に殺されておる。そうして彼らは憎しみという新たな戦争の種をまいているんじゃ。戦争というものは敵を殺し自分たちを守ることだが、その当事者たちはいつしか敵をやっつけることに没頭して、未来に生きる子どもたちの命を簡単に奪ってしまう。対馬丸の事件もガザの子どもたちの虐殺も、戦争の当事者のおとなががこれを引き起こしたんじゃ。生きているおとなみんなにその責任がある」

*2023年ハマスがイスラエル人1200人を殺害、その後のイスラエルのガザ侵攻によりガザで殺された子どもの数は1万3800人、ガザ地区全体では4万1825人。イスラエルの人口は990万人(73%がユダヤ人)。ガザの人口は200万人。