C通信55.2000年ローマのロシア人詐欺師 Russian con artist

C通信

銀河系ができたのが136億年前、太陽や地球は46億年前。バクテリアがそこに生まれたのが20億年前。その時間に比べれば生物の生と死のくりかえしはほんの最近のできごとにすぎない。数百万年に及ぶデボン紀の“波打ち際”での生物の死があり、陸に上がる生物たちのあるものは海に引き返し、あるものは陸に上がった。ラスコーの祈祷師はまだ人間ではなく、その死さえもない。死ははらわたを出した野牛のほうにあった。人間が死ぬようになったのはそれからのことである。 2000年、ローマ在住のロシア人詐欺…

C通信54. 死もまた生の夢を見る Death dreams life dreams death

C通信

生はたえず死の夢を見る。それと同じように死もまた生の夢を見る。最後の瞬間に、その人の生全体が、死から見た夢だったと気づいてもすでに遅い。それを証明する手だてはないし、その必要もない。夢は物理学の多次元のように、そこに折りたたまれたひとつの次元なのだから。 *C通信総覧はこちらから⇒ https://nagasawahideyuki.net/news/2825.html

C通信53. 植物になる  Become a plant

C通信

多くの人間が植物として生きることになった。 それは、頭をもたないアセファール宇宙人(C通信.47)への対抗から発生したものだった。“かたち”がなく、見かけは“ご当地キャラクター”に見える宇宙人から身を守るには、こちらもかたちを失うしかなく、まず視覚を失うことでその第一歩を踏み出した。しかし、かたちを失うことはそう簡単にできることではない。ひとつの過程として植物人間になることを選んだ。 もうひとつの理由は、不死を生きるためであった。正確に言えば不死ではなく、死ねない時代を生き…

C通信51. Ghosts in the forest

C通信

森の木々は囁きあっていた。その夜、木々が見た夢のこと、白い幽霊のような者が森の中をさまよっていることを…*C通信総覧はこちらから⇒ https://nagasawahideyuki.net/news/2825.html

C通信49. 地球外生物 Extraterrestrial

C通信

宇宙人アセファールはかたちをもたない。感情も持たない。記憶ももたない。そして変化する。つまり地球人と交信不可能だ。一応着ぐるみのなかにいて外見上のかたちは保っているが中身のほんとうの姿はわからない。ところがそれは確実に変化する。そのように見せるところがアセファールの最大の能力なのかもしれない。地球人はそれを見て変化ととらえる。変化とは、あるかたちが変化し、はじめのAという文脈がBという文脈に変わることでそこに意味を見つけるからだ。ところがアセファールに意味はない。もともと交…

C通信50.-時間旅行、ほんとうの過去は未来の中に Time Travel

C通信

『ほんとうの過去というものは未来のなかにしかありません。それはうしろではなくまえにあるのです。ですから「記憶にない」ということばは「記憶がない」という病理でもなく、ただ過去を目前に蘇らせたくないだけのことで、つまりは自分の未来を否定し、いまの生を否定していることになるのです。未来とは何でしょうか?たとえば、あなたがカメラを見て微笑んだときのそのまなざし、そのまなざしはたしかに未来の誰かに向けられているのです。はるかなそのとき、あなたは死者としてその誰かの前に現われることでし…

C通信49.-ウチュウジン Extraterrestrial

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私は不死の世界から戻れない。あたりにはパウダー状の乾いた血が絶えず流れている。殺戮が始まった。 アセファールはかたちをもたない。感情も持たない。記憶ももたない。そして変化する。つまり地球人と交信不可能だ。一応着ぐるみのなかにいて外見上のかたちは保っているが中身のほんとうの姿はわからない。ところがそれは確実に変化する。そのように見せるところがアセファールの最大の能力なのかもしれない。地球人はそれを見て変化ととらえる。変化とは、あるかたちが変化し、はじめのAという文脈がBという…

C通信48. 宇宙人”アセファル” Extraterrestrial beings, ACÉPHALE

C通信

宇宙人がやってきた。来襲でも逆襲でもなく、かといって友好というのでもなさそうだ。その意図も不明なまま、ただただやってきた。それはかたちではないので、何か適当な容器に入らなければならなかった。ことばであったり、音であったり、そこらに転がっているちょっととしたものに、まるで憑依するようにすっと入り込み、周囲に気がつかないようにとけ込んでいった。                                                  &nbsp…

C通信47.-メガソーラー FUKUSHIMA Mega-solar

C通信

高レベル放射性廃棄物の行方はまだ決まっていない。地中深くにうめられて10万年後にようやくその放射能がなくなると言っても、そのときここにひとがいるのかどうか、それさえもわからない。 10万年、それはいったい時間なのか?距離なのか?銀河系の端から出た光がもう一方の端まで届くのに約10万年。あるいはホモ・サピエンスがまだネアンデルタール人と共存していた10万年前の過去。そんな時間をひとはほんとうに思い描くことができるのか。 はるかそのときには、核開発自体が人類の最大の失敗として記…