C通信11.-回廊 Corridor
おれたちは日本式廊下の天井にへばりつきながら、床に落下しないようにゆっくりと進んだ。そうしてたどりついたのは 零下もすさまじい真っ黒い座敷の部屋。ひとウサギたちがこたつに入ってひそひそと話をしていた。
おれたちは日本式廊下の天井にへばりつきながら、床に落下しないようにゆっくりと進んだ。そうしてたどりついたのは 零下もすさまじい真っ黒い座敷の部屋。ひとウサギたちがこたつに入ってひそひそと話をしていた。
声が聞こえてくる。大きな声ではなく弱々しい声がそれぞれのコロナスーツの中に響き渡っていた。「不自由をみずからのものに… もっと暗闇を… もっと引きこもりを… 選ぶのではなくくじ引きを… もっと笑いを… もっとことばを… もっとストライキを… 政治家ではなく政治を… ギャンブルではなく命を賭けて… 」 カコ? それはいつのことだろう?キオクが飛んでしまっているからわからない、というか自分というのもわからない。未来の記憶ならある。今から遡るのか進むのか、千年以上もあとの世界。人…
少年のような… とりまくひとたち…
死の最前線でたたかったひとびと 一緒にいた友人は次の一節を読み上げた。 「人類は文明を超えて生きのびなければならない。人類は建築や絵画や小説のなかでそのときに備えている。ここで肝心なことは、人類がこの準備作業を笑いならおこなっている、ということである。この笑いはときには野蛮にひびくかもしれない。それでいいのだ。」
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Front line Healthcare workers
一緒に機外に出た友人は、いつの間にか別人になってウイルスのことを説明し始めた。それによると、ウイルスはDNAやRNAなどの核酸が、タンパク質の殻に包まれた構造を持っているが、生物ではないので死ぬことはないと言う。 私は以前見た「アンドロメダ病原体」の映画に出てくる結晶状の構造物と、庭に毎日飛んでくるジョウビタキ(鳥)が合体したようなものを想像した。
ピアノが空中に浮かんでいる。そこからは音と音楽のあいだのようなものが聞こえてきた。だれもがコクーンをはずしてそれを聞こうとした。
街はひとであふれかえっていた。みんな透明なスーツ、通称コクーン(繭)を付けていた。