C通信 95: 三つ目の岩石小僧、タイタンの爆縮、圧力

C通信 95: 三つ目の岩石小僧、タイタンの爆縮、圧力

:三つ目の岩石小僧  こっちの世界から見たらあっちはおかしいぞ。                 タイタンとかいう潜水艇が大きな水圧でつぶれてにんげん人5人が死んだらしいな。エクストリームツーリズムとかいうらしいけど、どうしてそこまでして海底に沈んだ船を見たいのか、気が知れないよ。しかもタイタンは実験的にカーボンファイバーでつくられていて、これが構造的な欠陥だったといわれている。もしもの事故の際に知らせる手段も構造も無しに潜水して、小さな亀裂から爆縮圧壊したらしい。タイタニックは水深3810mの海底に沈んでいるから、そこに行くには約380気圧に耐えられる潜水艇が必要だ。水深200m(約20気圧)でにんげん人の肺はつぶれる。水圧で壊れるのは空気を含んでいるものだから、にんげん人では体全体がつぶれるというよりは肺がまずつぶれるんだ。                     この潜水艇を運営しているO社は「5人は本物の探検家だった」と言ってるらしいけど、とんでもない!欠陥が指摘されるような潜水艇で、かつての死者の現場を見に行くなんて探検ではないだろう。1秒以内でひしゃげてしまう爆縮圧壊を自分たちが体験するだけだったとするならあまりにも悲しい。だいたい機械で武装して海に入ること自体がおかしい。海はにんげん人にとっては死の世界なんだからもっと敬意を持って接してくれなくちゃ。

アセファル宇宙人                                         オレもそう思うよ。マイロナイト岩石の風貌を見ながら冊子を見たら、それができる圧力は3000気圧ぐらいから6000気圧の間らしい( 0.3GPa~0.6GPa「中央構造線の始まりから現在まで」掲載の表から)水圧の比じゃないね。前にも言ったように、地上から10〜15キロメートルの深い地中のなか、300度を超える高温、高圧のなかでその一部の鉱物が再結晶しながら流動してこの岩石ができるんだ。それは直接見ることはできないよね。でも岩石の風貌から想像できる。それでいいのだよ。にんげん人なんてほぼ1気圧のなかでデリケートに生きているのだから、宇宙規模で見たら地球上にへばりついた苔や地衣類と同じだね。そういうふうに見れば岩石とも近い。

マイロナイト岩石                                         近いと言えば近いけど・・1961年の集中豪雨で長野県の大鹿村の大西山が崩れ、川のそばの集落を直撃して42人の死者が出たんだ。昭和36年のことだから三六災害と言われて有名なんだけけど・・この崩落した地質のほとんどがマイロナイトとされている。災害は無生物と生物の最前線で起こるんだ。

岩石小僧                                             岩石に罪はないよ。マイロナイトはマイロナイトよ。崩落はどこの山でもあることで、あとはにんげん人との関係だね。にんげん人にとっては不幸な事件だったけど、それでマイロナイトが否定されるわけではない。にんげん人にとっても苦しいところだ。こっちの世界から見たら、マイロナイトは生者と死者を結ぶ貴重な存在なんだ。

*(三六災害では伊那谷各地の死者、行方不明者は136名にもなった。この時の各地の被災状況や証言は「三六災害アーカイブ」で知ることができる。災害は単に降り掛かる災厄だけのことではなく、地球の物理的時間のことでもある。日本列島の成り立ちのもとが付加体とすると、災害は今でもつねに起こりうるものである)