C通信74.1 ウラシマタロウの石 A stone in the hand of URASHIMA-1

C通信74.1 ウラシマタロウの石 A stone in the hand of URASHIMA-1

2022年2月14日

「この石は、いまから10万年後にできたアセファール宇宙人の頭部石じゃ。アセファール人は2000x年に地球に到来したんじゃが、かたちをもたなかったのでその生態はよくわからなかった。地球では着ぐるみのなかに入ってかろうじてかたちとなっていたんじゃけど、それは着ぐるみのなかに何か別のものが入っているというのじゃなくてな、中身も外見と全く同一のものだったんじゃ。ゲル状のマトリョーシュカというか・・・そういうのでも生きているというのか、わしはわからんがともかく動いて変化はしていたんじゃ。 おもしろいことにアセファール人は死に異常な興味をもった。あいつらの世界には死はなかったみたいじゃ。生と死の区別もなく、それはつながっているようなんじゃ。だから地球人がそのままのかたちで死者になり、まわりが大騒ぎして嘆き悲しむことも不思議でならなかった。埋葬されてやがてなくなってしまうのもわからない。あいつらにとっては死者も生者と同じ存在じゃからな。なくならないのじゃよ。

初めはミイラづくりに興味をもったんじゃ。地球人のなかにも死者が生者と同じように存在する考えを持つものがいることに関心を持ったんじゃ。あいつらは、ミイラになるために死者のからだから臓器をとったり体の内部に詰め物をしたりする必要はなかった。からだの中身も外も全部一緒じゃからな。アセファールはもっとなんにもしなかったんじゃ。ミイラじゃなくてただの石になろうとしたんじゃ。石じゃよ石!いかにもあいつららしいというか…そうなんじゃ。

そのやり方もおかしなもんでな。今まで借りていた着ぐるみから土にもぐってじっとしているだけなんじゃ。でもそれだけじゃかたちはできないからのう。その物質に同化して、動かすことが重要だったんじゃ。地球のやり方とは全く違っているんじゃ。                                                                                                                                                                              そうしてできた石のかたちはどこか地球人の顔に似ているが、それは頭部のないアセファール人が地球人に会ったことが影響しているのかもしれん。彼らは地球人が植物になっていくのを見て、自分たちは石になろうと決心したんじゃな。                                     なぜ石か?そんなことわからんよ。前にも言ったように生物と無生物の境目があいつらには、ないからのう。量子レベルで見ればみんな細かい粒子でできているのじゃから、それも不思議はない。意外と簡単にただ変化しただけのことかも知れんし、あるいはかたちのない彼らのつよい欲求・・・いや、感情がないのだから欲求というのは違うかも知れん。わからんのう。

石はまあアセファール人のボディーみたいなもんじゃな、意味じゃなく、存在なんじゃ」