このところ自分のクラスから出た人をとりあげる機会が増えていますが、これは情報がもっとも入ってくるのでそういうことになっています。

 今回は下道くんが愛知トリエンナーレと森美術館「六本木クロッシング」に作品が出品されていることをお知らせしておきます。彼は武蔵野美術大学パリ賞(2007年)でパリに滞在したのですが、その応募の際にもってきたファイルにすでに「戦争のかたち」の原型がありました。それは全国に残っているトーチカ、砲台、格納庫などの戦争の遺物を写真に撮ったもので、イデオロギーからではなくかたちというか何か違った“モノ”への彼独自の興味から写真を撮り、さらに背後に潜んでいるもの(歴史もそのひとつである)へと視点を移動していく見方に新しい感性を感じたことを思い出します。その後の展開はさまざまな企画展での彼の活躍が示す通りです。

 モノの背後にある歴史や物語、あるいは個人の思いへの視線は深くおもしろい。

「暮方」

「暮方」

 もうひとり、神祥子が神奈川県美術展で神奈川県立近代美術館賞をとりました。「暮方」という作品で、絵の中の絵、ひと、絵の中の鏡(絵?)、そのなかの窓というふうに絵のメタファーが描いてあり、そのことだけとりあげれば絵画論のための絵と思いたくなるところですが、それよりも、それ以上のおもしろさを感じながらさりげなく絵をやっている、そのさりげなさがいい感じの絵です。