そこは半島の突端のようなところだった。崖と浜に挟まれた下り坂の道を進んでいくと上り坂になって町に入るようになっている。ぼくと宇佐美さんはいまスクーターに乗って突端にある町の城塞をめざしているのだ。なぜかというと、その城塞から何人ものひとが空中に浮かび、空のほうに吸い込まれていくのが見えたからだ。ぼくはすでに坂を降りて上り坂にさしかかっていたが、宇佐美さんはまだ下り坂をおりていない。だからぼくの前には宇佐美さんの姿は見えないが、夢のなかでは宇佐美さんがスクーターに乗って走る後ろ姿が見える。ぼくの姿もその先に見える。城塞の周りから何人ものひとが浮かんで、空に舞い上がっている。ぼくらはついにその町に入った。

 

 

 普通の町だった。人も猫も犬もいる普通の町だった。ぼくらは安心してカフェに入り談笑した。少し違うと思ったのはそこの人たちの眼の瞳ががらんどうで、そこから向こうの風景が見えることだったが、ぼくらはあまり気に留めなかった。