「未来の幽霊」展 [2017] カタログテキストー山本和弘
長沢秀之の新しい絵画についての一考察 山本和弘 距離という距離をあわただしく除去したところで、近さはけっして生じない。 —マルティン・ハイデガー『一九四九年ブレーメン連続講演』[i] はじめに パリのマルモッタン美術館にあるクロード・モネの絵画《印象、日の出》の正面やや離れた位置にひとつのベンチが置いてある。近づいて画家の筆遣いや絵具の肌理などを熟視した後にこのベンチに腰を下ろすと、画面がさざ波のように揺れ出す瞬間に私たちは立ち会う…
長沢秀之の新しい絵画についての一考察 山本和弘 距離という距離をあわただしく除去したところで、近さはけっして生じない。 —マルティン・ハイデガー『一九四九年ブレーメン連続講演』[i] はじめに パリのマルモッタン美術館にあるクロード・モネの絵画《印象、日の出》の正面やや離れた位置にひとつのベンチが置いてある。近づいて画家の筆遣いや絵具の肌理などを熟視した後にこのベンチに腰を下ろすと、画面がさざ波のように揺れ出す瞬間に私たちは立ち会う…
対話「私が生まれたとき」神戸 25+1年あと(未来)の記憶 展が最終日に中止となった。国の緊急事態宣言の発出により、神戸市管轄のKIITOが休館を決定、ギャラリーCでの展示も中止となった。この展覧会はもともと昨年の5月に予定していたものだったが、やはり緊急事態宣言によって中止となり、その後「文化芸術活動の継続支援事業」の補助を得て今年の2月に再開予定するも感染拡大で再延期、ようやく5月に再開が決まったいきさつがある。コロナに始まってコロナに終わった展覧会であったが、こうした…
*この展覧会は緊急事態宣言を受けての神戸市の決定により、最終日25日は閉館になりました。◯展覧会初日17日のトーク: 長沢秀之 × 服部正(甲南大学教授)・・・以下のサイトから⇒https://drive.google.com/file/d/1INbPqtztzBggLvhXBv5RlC_A9AuJkMUv/view?usp=sharing◯展覧会掲載記事: 18日神戸新聞⇒https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/202104/0014250…
はじめに 2020年は1995年の阪神淡路大震災から数えてちょうど25年にあたる。凄まじい早さで過ぎていった時間と積もった時(とき)を思いながら、対話「私が生まれたとき」神戸—25年あと(未来)の記憶—を始めた。 前回(奄美)と同様、これはそこに住んでいるひとに「私が生まれたとき」で始まる文章と、関連の写真を提供してもらい、私がその写真をドローイングにして展示するという企画である。 過去の歴史を呼びおこす、という大まかな意図はあるものの、文章や写真に関しては特段限定しない…
関西の国立国際美術館では11月3日(土)から来年1月20日(日)まで「ニューウェーブ 現代美術の80年代」が開かれている。趣旨にあるように“1990年代、2000年代と下るうちに、どのように変化していったのか”が見れるといい。 80年代は絵画の“解禁”があり、90年代、00年代と絵画はフォーマリズムをステップにすることでひとつの隆盛を見たが、10年代、とりわけ日本では2011年以降、芸術としての根拠が希薄になっていったように思える。絵画=芸術はすでに成り立たない。絵画は今…
東京国立近代美術館での小企画展として「遠くへ行きたい」が10月6日(土)から来年の1月20日(日)まで開かれている。東近美コレクションの中からの一点ではあるが、この企画が永六輔作詞の歌からのヒントであることがおもしろい。「遠く」の意味は深く実は身近でもある。これは大小(遠近)のドローイングのなかの8番目という意味でNo.8とした。No.1では宇宙飛行士が点のように小さくなっている。 大小も遠近も相対的なものであろう。スウィフトは当時のイギリスを相対的に見ようとして小人の王…
奄美での展示のポスターとチラシができました。以下チラシ表、チラシ裏、ポスターの順です。初日25日は14時より参加者の皆さんとのフロアトークがあります。多くの方々のご参加をお待ちしています。
3月20日から「もうひとつの美術館」での展示が始まります。この美術館は栃木県の那珂川町にあり、今までも何回か行ったことがあるのですが、とてもおもしろい企画をやっているところです。今回は工房集の人たちとの展示で、この人たちの作品も埼玉県美などあちこちで見ていてそのたびにすごいなあと思っていました。一緒に展示できるのが楽しみです。以下に私のコメントと美術館の案内を載せておきます。●(長沢秀之コメント:談)<<「繰り返し」と言うとなんか執着した情熱のようなものがあって、それに憑か…
2017 Dec 16 - 2017 Dec 24 ティル・ナ・ノーグ ギャラリー https://tirnanogtokyo.com/
未来の幽霊―長沢秀之展一階展示室2で展示された「対話」—奄美編(長沢のドローイング+奄美の人々の文章)がところを移して奄美市でも開かれます。(アイキャッチと下の図版はそのドローイングの一部)◯とき:2018年3月25日(日)〜4月15日(日)◯ところ:田中一村記念美術館企画展示室私が生まれたとき‥で始まる奄美空港開設の文は報道カメラマンの越間誠氏による。図はその写真集「奄美 二十世紀の記録」からの引用によるもの。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…