カタログテキストー「未来の幽霊」長沢秀之
「未来の幽霊」 長沢秀之 写真の父と母。26歳の母も28歳の父も現在の私より若い。二人のまなざしは、初老になった現在の私を見ている。私は自分の子どものような年齢の母と父にまなざしを注ぐ。時間が逆転する。同じ写真の6歳の私が現在の私を見ている。私がその6歳の私を見つめ返す。彼の目に私はどう映っているのだろうか? そのとき、6歳の私が見ていたものが私に送られてくる。土間に立つ母の影、玄関の樫の木の脇の丸い石、その下のコオロギの震え、隙間の多い板塀から見える遠くの景色・・・絵の…