C-PAINTING Ⅲ <Two Rockers and an Actor>

detail その状態は数年間ずっと続いたが、ドローイングだけは描いていて、そうするなかで体に変化が起こった。C通信でも書いたが、そのひとつはいつも眠る前に多くの人の顔が浮かんでくること、もうひとつは時々ではあるが目を瞑った際にそこに直線的な光が交錯して見えることだった。後者に関しては、以前、細長い三日月のような光が走ったことが何回かあったが、眼科では「そのうち慣れて気にならなくなります」と言うだけだった。 単に妄想や視覚の障害の一種としてしまうこともあり得るだろうが、自分…

C-PAINTING Ⅱ 顔の逆襲 <Attack of Faces>

&lt;Attack of Faces&gt; &lt;Attack of Faces>は、夜眠る時に目を瞑ると多くの顔が頭に浮かんでくることに端を発している。そこには知っている顔もあれば全く知らない顔もある。死者もいれば、生きている人も不明の人もあり、何が出てくるのかわからない。だから下絵は、まず私が知り得た人の顔を22人並べて描いて寝かしておき、それが何ヶ月か経ってその人らの記憶が薄れようとしていた頃、再び上描きするようにえのぐをおいていっ…

C-PAINTING Ⅰ. Who came from 1938 to the present

1938年から今にやってきた <1938年から今にやってきた Who came from 1938 to the present &gt; 下絵 その写真は古本屋の片隅の箱に入れられていた。1938年何月何日の撮影と記されているが、どうしてそれが古本屋の店頭に売り物としておかれるようになったかはわからない。そのひとが1938年からここにやってきたように思った私はそれを買い求め、絵に描いた。描いたと言ってもそこに点状のえのぐのタッチを置いていったのでその写真像は半ば消…

C通信ドローイング終了ー Painting again 絵を再びつくりだす

コロナ禍で始まったC通信ドローイングは、突然ですが今回で終了します。長らくできなかった絵がつくれるようになったのでここから絵をやります。 下絵 絵画の行方・不明 絵画のゆくえという名の展覧会が過去に何回か催されてきた。この場合の絵画とはコンテンポラリー絵画、つまり現代の絵画をさすのだろう。 絵画史に目をやれば、絵画は過去のくり返しではなく、そのときその時代の絵画がつねにつくられ、求められてきたことがわかる。そういう意味での絵画はいつもコンテンポラリーなのである。かつて生み出…

144: THE GAZE OF THE DEAD 死者のまなざし

沖縄の珊瑚の輝きの向こうに、幼くしてなくなったこどもたちのまなざしがあり、そのまなざしの向こうにはガザで殺されたこどもたちのまなざしがある。こちらを見ている。

143: DEAD 子どもたち

ウラシマタロウ 「生き残って助かった177名の人たちは、自分が無事だと沖縄の家族に手紙を書こうとしても対馬丸撃沈のことは絶対に口外しないよう、また手紙のことも近所に知らせぬよう厳しく禁じられたんじゃ。あとで知った家族が怒ることも禁じられたさあ。まったく上の奴らはどこまでバカを通すのか・・」 珊瑚 「生物の生死は宇宙の理で、生あるところに必ず死はやってくる。海の中でも生命循環があって、命が他の命を糧にして生死を繰り返すのはある。けれども人間が武器を持って殺しあうのは宇宙の理か…

142: 1944年対馬丸撃沈事件 1944 Tsushima Maru sunk by submarine torpedo

1944年の8月23日、老人はいまだかつて見たことのない光景を前にする。浜に打ち上げられた何体もの水死体である。 珊瑚 「この海には死者がいまも生きているの。多くの子どもたちが命を失った対馬丸撃沈事件は知っているでしょう。あの子たちの体を構成する原子は海に散らばり、それが私たち珊瑚の原子の一部となってここで生きているのよ。珊瑚礁のひとつひとつの輝きはあの日死んでいった子どもたちの瞳の輝きでもあるの」 ウラシマタロウ 「そうじゃな。わしも時間を飛び越えて生きてるから、1944…

141: 石化した若い兵士と埴輪 Petrified young soldier and Haniwa

天草地方に若い兵士の石像がいくつかある。保存会の話によると、出征した兵士の姿がそのまま残されているという。地元の石工によって、日中戦争に出征したそのひとをなぞるようにつくられた石像で、苔や地衣類に覆われているが、その顔などを見ると若くてまだあどけない表情をもっている。20代そこそこに出征したのだろう。直立不動でかなたを見ている。似ているから身近な人が見たらどこそこの誰さんとわかるらしい。10数体あるが、その多くが凝灰岩でできている。戦地に散った市井の戦士の像。これは神話の像…

C通信: 140 Amrita, NMN,ニコチンアミドモノヌクレオチド

大海を攪拌してもアムリタはなかなか現われなかった。ヴィシュヌ神の助けをへて神々はふたたび乳海を攪拌し、アムリタを獲得しアスラたちとの戦いに勝利を収める。 ここで重要なのはアムリタを飲んだのが神々(一部のアスラも飲む)だったということだ。神々は世界、宇宙の生成に関与するから死ぬわけにはいかない。一方、現代ではニコチンアミドモノクレオチド=NMNが老化を止める薬として実際にサプリとして販売されている。これはサーチュインという長寿遺伝子を活性化させる働きがあり、その効果がハダカデ…