パン屋さん、ムサビ修了、卒制(2014)

美術関連

 2月25日から川越市立美術館で開催される「大きいゴジラ、小さいゴジラ」の準備で忙しい。今回はわたしが企画・総合制作のような役割を担っているので総勢30名ほどの武蔵野美大生への作品指示やコンセプトの作成などで毎日フル回転の状態だ。詳しくは「お知らせ」を参照して欲しいが、その準備のためにこのブログが少し休止状態になっているのが残念である。   最近読んだ本で感銘を受けた『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』のことももっと早くとりあげたかった。こんな生き方ができたら最高だと思わ…

保坂毅展

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 保坂毅が清澄白河のアルマスギャラリーで展示をしているので初日(1/18)に見に行った。  正面の作品がおもしろい。縦長の3点の作品は縦のストライプ、同じ半円形の繰り返しとその隙間を埋めるグレイのグラデーションから成り立っているが、グレイの微妙な明暗の違いによって半円形の反復が変化あるものに見えてくる。  縦長の物体が妙に生々しく見えてくるのだ。  保坂の作品は、いつも反復から生まれる微妙な変化がこちらの視覚の思い込みを裏切ってそこにあり得ない現象を引き起こす。その裏切りが…

蔵と現代美術展ー川越

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 地元の川越で「蔵と現代美術展」ーキラキラヒカルーという展示が開かれている。キュレーターが長谷川祐子氏ということで興味津々見にでかけたが、期待に違わずおもしろい展示であった。  仲町観光案内所での荒神明香は事故現場で拾ってきたガラス破片などを集めてシャンデリアをつくっていた。キラキラ光るものものの背後にある人間のドラマが生々しく痛い。けれども美しく輝いている。想像力の強さとつくることの原点を感じる作品だ。それは震災以降の想像力と無縁ではあるまい。  次は亀屋栄泉の二階にある…

絵の始まり「ターナー展」

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 今回のターナー展では“絵の始まり”を見ることができる。 「カラービギニング」といわれる一連の水彩の習作があるが、それは油彩作品をつくるための習作であって発表を意図してつくられたものではないらしい。が、この一連の作品が今回の展示の最も現代的で刺激的な部分であることは間違いない。「さあここから絵が始まりますよ」と示されているような驚きがあり、色彩の始まりのみならず、どのようにして一枚の紙から絵ができるのか、その秘密が解き明かされているようだ。  水彩のはしの部分を見るとよい。…

絵と絵の距離 ー「戦争/美術」展から

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 絵画の距離(見る時の)についてはすでに2013/3/15のブログでとりあげたが、絵と絵の距離については今回が初めてである。こんなことを考えたきっかけは神奈川県立近代美術館で開かれていた「戦争/美術」という展覧会を見たからに他ならない。(7月6日—10月14日)  この展覧会には今まであまり見たことがないいい作品が出ていた。画家靉光の紙本淡彩によるうす塗りの人物像や、墨の濃淡が二重像として見える<鷲と駝鳥>など、今まで私が思っていた画家のイメージを覆す作品も多い。丸木俊の紙…

菅亮平と河合真里の展示(トーキョーワンダーサイト)

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 久しぶりにトーキョーワンダーサイト本郷に行く。長沢クラス出身の菅亮平と河合真里が3階、2階で同時に展示している。こんなことは滅多にない。偶然そうなったらしいのだが、ふたりとも今までの作品は見ているので興味をもって見に行った。まず菅亮平の作品。  実際に作品の前に立つと作品のもつ“空間のサイズ”にめまいを感じる。それはミニチュアの克明な模型を撮った大きな写真なのだがなんか変なのだ。 自分が人間でなくなったような、ネズミや昆虫になったような、いやただの石ころになったような気も…

『心霊教室』

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  「ムサビる!」への参加は今年ですでに3回目、教室で展示するおもしろさに目覚めてしまったのかもしれない。美術館でも画廊でもなく、ましてや展示空間でもない教室での展示はそこの“場”ならではの展示と発想を必要とする。それがわたしをひきつける理由なのだろう。  その場所の名前そのままに今回は「心霊教室」。わたしの描いた心霊写真的ドローイング(心霊線画!?)に学生から募った言葉を添えてもらうことになった。ドローイングと言葉とのコラボレーションである。  その際にわたしがお願いした…

「熱波」(原題『タブー』)あるいは「現実と幻影」について

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 ポルトガルが気になる。時代から取り残されたようなリスボンの夜の街。鈍く光ったレールが暗い街角に曲線を描き、そのかなたからごとんごとんと古びたトラムが走ってくる街。夜の街の料理は魚がよい。ヨーロッパの他の国々ほどに脂っこくなく、さっぱりして新鮮である。人も親切で、この国がかつてスペインと世界の植民地を2分したとは到底考えられない。が、時折年老いた人の眼光やその顔に刻まれたしわにかつての栄光の名残が垣間見える、そんな思いを抱いてしまうところだ。   この国の映画はオリヴェイラ…

「画家の晩年の作品はなぜ狂気をはらむのか?—ティツィアーノ展」

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 たとえばカラヴァッジョなら、その絵を見て「現代」を感じることができる。絵画でありながら映像的、しかも現実感があることが400年以上の時を経ていながら、それを現代的なものにしているだと思う。 しかしティツィアーノはどう受け取ったらよいのか? ルネッサンスの巨匠、バランスのとれた完璧な絵画、それとも色彩のなんともいえない品のある深さ、などなど。しかしあまりに遠すぎ、あまりに違いすぎる。あまりに違いすぎて取りつく島がない。こういうことは西洋絵画のいわゆる巨匠といわれる画家の絵に…

絵画の距離

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 絵をつくる時の距離、これは絵を見る時の距離でもあるのですが、これに関しての論はあまり見たことがありません。山本和弘氏がわたしの絵画に関して書いた論文『無限層の絵画、あるいは豊かな絵画』がそのことに関して言及したのが2008年のこと、写真や他の分野などにとってはむしろ身近な問題なのかもしれませんが絵画に関してはあまり聞いたことがありません。しかしわたしにとっては重要な問題です。  絵に接近してかいているときに見ているものと、少し離れてみたもの、さらにもっと…