アート&コミュニケーションゼミについて(研修会での発表から)

アート&コミュニケーションゼミについて(研修会での発表から)

2014年12月31日

  武蔵野美術大学が平成24年度のグローバル人材育成推進事業に採択されてから2年余が経つ。(タイプB(特色型))

 当初はその意味、意義をめぐって様々な意見も飛び交ったが、最近はいくつかの実践を通じてそれも落ち着いてきたように思う。以下にあげるのはそれに関連したひとつの授業をめぐっての、個人的感想も含めた経緯である。美術の制作現場からのこうした授業の試みはあまりないのだろうと思う。単なる英語の勉強でなく、アートの意味やコミュニケーションをめぐる問題として、多様性をさぐる論議の場としての授業を目指した。

 2014年の4月から始めた授業には私のほかに池田哲さん、Jaime Humphreysさんがセッティングも含めて深く関わってくれた。また私のこの発表は夏の研修会だったので、それ以降のアーティストの名前は話の中に出てこないが、画像はあるので以下掲示した。(画像は文末に掲載)

 やはりアートの話はおもしろい。ここに来てくれたアーティストのプレゼンテーションも多様性に富み、話が深入りして時間がかなりオーバーすることもたびたびあった。総じて海外のアーティストはコンセプトがしっかりしているからどうしてもプレゼンが長くなる。それは聞く側が興味をもって話に惹きつけられた証拠でもある。みなさんに深く感謝します。

1, Tamiko O’Brien  2, Peter McDonald  3, Sam Stocker  4, Jesse Hogan  5, Louise schmid  6, アーカスの3人、Seyit Battal Kurt、Constantinos Taliotis、Florencia Rodriguez Giles,  7, Jack McLean  8, Boris Sirka,  9, Jenny Akerlund,  10, Renata Darabant,  11, Chris Bennie

=以下研修会での発表からの収録=

 長沢秀之です。よろしくお願いします。僕は資料はないので、電気は全部消して大丈夫です。こういうテーマでちょっとお話ししていきたいと思います。この下に書いてあるように今年から、『アート&コミュニケーションゼミ』という英語でアートを語る授業を始めたので、その経緯も含め、お話ししていきます。

 ちょうど去年だと思うのですけど、“グローバル”についての全学的な研修会が初めて行われました。それが終わった後、他学科の先生とお話をする機会がありました。そしたら、ある先生が「こんなことをやったらムサビは駄目になるよ。ムサビのいいところが全然出てないじゃないか」と非常に意気込んで言ったのを覚えていますが、その後他の先生からもたくさんそういう話をいただきました。

 それからもうひとつ、僕にとってその授業を進めるにあたってとても印象的な出来事がありました。4月に油絵学科でいつもカリキュラム会議というのをやるのですね。カリキュラムを非常勤の先生も含めて、油絵学科に関係する先生がみんな集まってやる会議があるのですけど。こういう授業をやりますと発表したときの、皆さんの冷ややかな目つき。それが忘れられません。別に恨みがあるわけじゃないのですけどね。その二つが僕がこの授業を始めるにあたっての非常に印象的な出来事だったのです。

 重大なのは、必ずしも僕はそのこっち側(授業を進める側)にいるわけじゃなくて、そういうふうに思っている側にも僕の存在があるような気がしたのですね。そこがちょっと重大なことかなと。そういうことを思いながら、それでもなおかつ、この授業をやりたいなあと・・・やらなくちゃいけないなと自分が思った理由があります。それがここに書いてあります。

 こういうことです。二つあります。正確に言えば三つあるのですが、三つ目というのは後でまたお話ししていきます。

 ひとつめ、学生が非常に閉じられた中に居る。理由はこういうことで(図示)、新聞とかテレビは見ないので、世界で起こっている出来事を知らない。極端なことを言うと、とにかく『私を見て見て!後はどうなってもいいから』と。そういうふうな学生が増えているような気がします。そういうことと、ここの学校でうたっている多様性を重視していくということは、ちょっと食い違うのではないかなと。だから、これはなんとかしなくちゃいけないのじゃないかなということを思いました。

 それからもうひとつはこの下に書いてあるKAKEHASHI Project。これは去年の段階で話があって応募しました。そしてそれが採択されたのですが、これは国際交流基金で全額負担してくれることになっています。学生クリエーター交流ですね。来年の3月にアメリカの各都市,大学を訪問することになっています。11日間25名。引率2名で、これは工デの伊藤先生と僕が引率者となり、ファイン系、デザイン系の学生を23名連れて行くことになっています。せっかく採択されたわけですから、その人たちを連れてって、ある程度活発に話ができるようになったらいいと思いました。そういう学生を育てていくためにも、この英語でアートを語るという授業はやらなくちゃいけないだろうなと思ったのです。

 そして、最初にいろいろ情報収集して、授業をどういうふうにやったらいいかなということを探しているうちに、アーティスト・イン・レジデンスというのがあることに気がつきました。杉並区に『遊工房』というところがあります。その他にもたくさんあるのですが、そこにアーティストが来ていて、アーティストたちは他の人とのアートの話を非常に望んでいるということを聞いたのです。これはもしかしたら僕らが必要としている人たちと一致するかなということを考えて、早速遊工房の、村田さんご夫妻と連絡をとり、そこに行って話を聞きました。そしたらちょうどこの画像に写っているタミコ・オブライエンさん、City & Guilds of London Art Schoolの学長のトニー・カーターさんを継いで、次期の学長になるという人が、ちょうど今来ていて、彼女に話をもっていってくれたのです。そしたら彼女はすごく授業のことに興味を1-1,Tamiko O'Brienポスター持って、それなら面白そうだから行きますと。大学も見てみたいし、興味あるから行ってみたいということで、すぐ1回目の授業が実現しました。(1-1)

 この人たちは、マーク・ダンヒル&タミコ・オブライエンというユニットで制作し、作品を発表しています。これはその作品画像ですね。(1-2)ここに粘土があります。粘土があって、ここに石があって、ここに上から石を落としていく。そういう装置ですね。2人がそういう装置を作って、そこでパフォーマンスをやっている。これもレジデンスでの作品制作の様子なのですけど。そういう作品をやっているということでした。

 ちなみにそのマーク・ダンヒルさんという人は、セントラル・セントマーチンズの学部長ですね。忠徳さんも知っていると思うのですけど、そういうことをやっている。2人で、ユニットを組んでアーティストとして活動をしながら、レジデンスに来て1カ月以上も作品を作って発表して帰る。僕らだとちょっと考えられないのですけど、そういうシステムがあることを詳しく聞きました。それからそういう人たちが来て、このときは芸大での彫刻のワークショップ、それをやるために日本に来たということもあったのですけど、それを一緒に兼ねているわけですね。そういうこともあって、このタミコ・オブライエンさんにお願いすることになりました。

 これはその2人の象徴的な作品だと思います。(図示)これは後でビデオが少し流れますから、そのときに説明します。先ほどの粘土で作ったへこみ。そこのところを逆に立体化して、ひっくり返してこういうふうにやっている。これがそうですね。こういう作品を作っている人です。それから、この2人の作品で、これも非常に2人の作品らしいなという感じがしたのですけど。タミコさんがここで粘土を作って、そうする1-3,Mark Dunhill&Tamiko O'Brienと、ここにレールがあって、それをツーと送り返す。するとマーク・ダンヒルさんがそれを消してしまう。その痕跡を消しちゃうわけですね。自分がつくるわけですから、相手のつくったところを消してしまうのは当たり前かもしれないですけど、消してしまう。それで送り返すと。今度はタミコさんがタミコさん流の考えで作品を作って送り返す。それを延々とやっていくという作品で。これを見たときに、自分が作りたいように、つまり思うようにはつくらない。つくるのじゃなくてつくらないと、そういうところが非常に面白い方向でやっているなと感じた。その辺のことをやっている人はあまり日本でもいないから、最初の授業としてやってみたらいいかなと思いました。それで、これが5月22日、最初に実現したのですけど。これをちょっとお聞きください。(1-3)

 (ビデオ映写)

 こういうふうにタミコさんが非常に面白い人で、身ぶり大きく、しかもイギリス人特有のユーモアたっぷりにプレゼンテーションをしてくれました。また僕らがお願いしていたようにゆっくりしゃべっていただきました。ですから、学生もかなりついて来れたのですね。ちなみに、この授業のスタッフですが、この方が遊工房とかアーティスト・イン・レジデンスでの通訳もやっている池田さん。それからここにジェイミーさん。この方はイギリス人のアーティストで、日本に長く住んでいます。その2人が遊工房に関わっていたので、それもあって、最初に遊工房に来たアーティストということで、タミコ・オブライエンさんの授業が実現しました。

 この授業をやる前、ちょうど前週にオリエンテーションがあったのですけど、学生にはこういう授業は質問が出なかったら成り立たないと。だから、どんな簡単な質問でもいいから、とにかく英語で質問をしてくれと、そういうことをお願いしました。英語で質問するということが全てとは思わないですけど。とにかくそういうことをやってみようと。結果はというと、僕も非常にびっくりしたぐらい学生の中からいろんな質問が出ました。タミコさんもこれが終わった後、飲み会の席で、「とにかく今日はいい質問がたくさん出てよかった」と、そういうことをおっしゃっていました。それからその後も彼女の作品、彼らのユニットの作品に関して、僕のほうでメールを送ったのですけど・・・そういうことに関しても丁寧に「刺激された」とか、そういうことが書いてあり、非常にいい交流が第1回目にできたかなと思いました。

 これはこういう言葉が書いてありますけど。英語の題名を訳してこうなったみたいです。今回の滞在中に2人が「富士塚」に興味を持ったのですね。富士塚というのは富士山を模した塚で日本各地にたくさんあって、身近な所にもたくさんあるのですけど。そこの写真を撮って、1枚1枚は立体的に見えますけど、これは全くの、ペラペラの1枚の写真です。それをダンボールに張り付けて、おひなさまの壇上みたいににこうして後ろに向かって乗っけています。その作品のオープニングがありました。じゃ、オープニングもこの授業の一環としようと。押しかけようということで、そこに夕方行ける人は集まるということになりました。これは通訳の池田さんですね。彼がアーティスト・イン・レジデンスのいろんな調整とかいろんな情報を入れてくれます。それからここにたまたま写っているのですけど、この人は芸大のO Junさんで彼は遊工房の立ち上げからずっと関わっているのと、それから今回芸大でワークショップをやるということもあって、・・彫刻のほうでのワークショップですね・・そのこともあってオープニングのときに来ていました。これが7月18日です。(1-4)

 さらに7月。これはちょっとさかのぼりますけど、2回目のアーティストとして、ピーター・マクドナルドさん。日本生まれで、日本で小さい頃育って、ロンドンに行ってからセントラル・セントマーチンズを卒業して、順調にアーティストとして活躍している人です。(2-1)(2-2)2-2,Peter McDonald

 これは1912年に金沢21世紀美術館に来たときに、あそこの大きな壁面をいろんな人に手伝ってもらって描いて、終わったその後のトークの様子です。彼にも話をしました。この人はアーティスト・イン・レジデンスじゃなくて、AIT(エイト)という組織があり、そこに来ていた人です。NPOの組織ですけど。そのエイトはお兄さんがやっているということなので、そういう情報が入り、じゃ、ピーターさんに来てもらおうと決断しました。

 これはまた作品になりますけど、彼の絵の特徴がすごくよく出ているのじゃないかなと思います。頭をいつも風船みたいに描いているのですね。頭で考えていることをいつも図にして作品をつくっている人です。これなんかは作中の人の頭の中の考えている事を絵として描いています。この絵に描かれているのは画家かなと思います。

 彼にも、またタミコ・オブライエンさんにも共通していたのは、コミュニケーションの問題です。人間がこういう社会でどういうことを考えて、どういうことを他の人とコミュニケーションできるかと。そういうことをテーマに考えているような気もします。先ほどのタミコさんとマーク・ダンヒルさんとの共同の作業にしても、自分のやったことが消されちゃうわけですね。それで、また向こうから違ったものが入ってくる。そういうときに、自分がどういうふうにやるのか。つまり、それは大きな意味での、違った人、自分とは考えが違った人と人とがぶつかったときにどういうことをやるのか・・それを試しているような気もします。そういうことを作品にしているのがおもしろいと思いました。

 それからこれはピーターさんのプレゼンテーションです。(2-3)このときもできるだけやさしい英語で話してくれという注文はしました。そして、終わったときに必ず英語で質問をするようにと、それは言っていたのですけど。これは、その質問の答えでピーターが日常から自分の題材を見つけているということを2-3,Peter McDonald言ったので、その日常とは具体的にどういうことなのですかという質問をしたら、小さいスケッチブックを見せて、そこにドローイングがすごくたくさん描いてあるスケッチを見せてくれました。それを見るにはちょっと遠いので、周りに集まってみようということで、こうして見ているところです。

 それからこれが一番直近で、夏休みなのですけど。このあいだやりました。この人の名前はサム・ストッカーさん。(3-1)文科省の助成金を得て、芸大の院生として来ている人です。その人を、先ほど出ていたたタミコ・オブライエンさんのオープニングパーティーで紹介されたので、彼に来てもらおうと思いました。そしたら彼も喜んで、ちょうど自分の作品を整理していたところでもあるので、いいですよということで来てくれました。ただ、このときは103-1,Sam Stocker時から始まったのですけど、約2時間半ですかね。結構長くて、しかも彼はコンセプチュアルなことをたくさん言ったので、難しいところもありました。難しいところはこの池田さん・・この人、本当に優秀で、美術のことに詳しいので、ちょっと中断して彼に翻訳してもらうということもやっています。ただ、先ほども言ったように、原則は英語の話を聞いて最後に英語で質問をするということです。このときは途中でも質問が出ましたし、とにかく学生たちの何人かは、本当によく英語で質問できるようになりました。そういうところが確実によくなっているなという実感を得ています。

・・中略・・

 それから先ほど挙げた、二つの中のもうひとつ・・・KAKEHASHIプロジェクト。これが早速始まりました。RISDリズディーと書いてありますけど、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインのことです。そこの学生たちが12人来ました。半数と先生はデザインで、工芸の伊藤先生のほうに行きました。それで、僕らのほうにはこの人、それからこの人、それからこの人、この人、それからこの人です。その5人が4-1,RISDxMAU来たのですけど。そのときに学生が撮ったスナップ写真を後でくれたので、ここにちょっと挟みました。(4-1)

 こういう感じで始まりました。まず最初に、大学院生のアトリエに連れて行って、作品の前で自分の作品の説明をして、それに対する向こうの学生たちの反論、さらにそれに対するこちらの意見を言うようにしました。この学生はいなかったので、いない場合はその作品についてどういう印象を持つか聞いていって、他の意見も聞くということをやっていきました。それからこれは集団がばらけて、ちょっと個別に話をしているというときの様子です。(図示)この辺はもっと写真がたくさんあったのですけど、今日は時間が短いのでみんなお見せすることはできないと思います。(4-2)4-2,RISDxMAU

 2日間あったので、みんなが日常接しているもので、これを説明したら面白いと思うものを持って来てもらい、それについて話をしようということで、今この人は説明してますけど・・・この人はお正月の稲穂飾りというんですかね。それを持ってきて説明をしているところです。その他、フィギュアとか線香花火とか、あるいは方位方角を書いたものとか。そういうものをたくさん学生が持ち込んで。話をしているところです。(4-3)

 この後、画像にはないのですけど、リズディーの学生た4-3,RISDxMAUちには日本に来て面白かったものを1枚ないし2枚写真を撮って、それを提出してくれということをお願いしました。それをパネルに張っていって、一人一人がその説明をしていったのです。例えば、マクドナルドの宅配の箱が面白かったとか、あるいはお地蔵さんが面白かったとか。あるいは消防の警報マークのところに子どもが描いてあり、その子どもっぽいキャラクターが描いてあるのがちょっと不思議だったとか。そういうふうな意見が出ました。だんだんとそういうところから結構面白い話になってきて。例えば、不動明王、赤い不動明王を撮った人が居て、なぜ赤いのかということから、アメリカのメジャーリーグの話に飛んで、クリーブランドインディアンズというチームがありますけど・・・そのチームのマスコットキャラクターはインディアンの赤い顔の人がマスコットキャラクターなのですね。それが人種差別のつながるということで問題になった。あるいは人権蹂躙なんじゃないかということで問題になったと。そういうことまで話題に上りました。

 それから、この人はアフリカ系アメリカ人なのですけど。自分のファイルを見せたときに、奴隷制のことを扱った作品を作っているのですね。そういうことというのは、日本の学生はやっぱり全然知らないし、身近に感じないからびっくりするわけです。そんなに身近なことなのだと。それから、この人も、これは学生が持ってきたコスチュームを着せて、それで楽しんだ後だったのですけど。この人もルーツは移民の人なので、移民の問題も日常茶飯事でよくあるということを話していました。ですから、そういうことに学生が接することによって、普段この範囲までは知っているということが、少し大きく広がったかなと、深い問4-5,RISDxMAU題までも話せたかなという感じもします。僕が英語で全部言ったわけじゃなくて、この通訳の野田さんという人が、国際交流基金から派遣されてきました。この人がいるおかげでちょっと難しいところはカバーしてもらう。そういうことがないと、単に知っている同士の内輪だけの話になってしまうので、それは結構有意義かなというふうに思いました。(4-5)

 この他、豆腐パーティーとか、あるいはここにホワイトボードがありますけど。ここで日米マンガ対決ということもやって、結構それは盛り上がりました。その写真はまたいつかお見せしたいと思います。

 最後のところで、僕が企画したゴジラの展覧会を見せました。そこに皆さんを連れて行って、日米のゴジラの考え方の違いと、そこに見られる、リアリズムの捉え方の違いと、そういうことを話しました。1954年の日本のゴジラというのは、アメリカ映画の「キングコング」とか「電子怪獣現わる」とか、その辺の影響を受けているのですね。アメリカ映画の影響を受けている。逆に、最近のアメリカの、2014年のゴジラ、あれは監督自体若いし、日本の最初のゴジラをすごく尊敬している監督なのですね。学生たちも何人か見ていたし、アメリカで見ていた学生もいたので、その違いを話しました。

 最後に学生たちに、「アメリカのゴジラと日本のゴジラとどっちが好き?」というふうに聞いたら、皆さんリップサービスもあるのでしょうけど、「日本のゴジラ!」と言ったので、ゴジラのフィギュアをお土産に、ご褒美にあげたという図です。左の人は彫刻の人だったので、他の人とはちょっと違う・・第4段階までのフィギュアがあったのですけど・・第2段階のものをこの人はゲットして嬉しそうにしていました。

  以上です。僕がやっていることがグローバルに当たるかどうか、それは僕自身ちょっと分かりません。ただ、ものごとを英語で話すだけ、あるいは英語を使って話すだけの授業だったら、やっぱり学生もついて6-3,Constantinos Taliotisこないし面白がらない。僕自身も絶対にそれはやれないです。そういう中でアートがどのようにそこに関係してくるのか?問題は何を話すか?何を質問するか?そういうことだと思うのですね。だから、僕の授業の中で、とにかくみんなで質問をしようと。僕も含めてみんなで、英語はそんなに上手ではないかもしれないけど質問をしているわけです。それで話が通じるし、面白い答えが返ってくる。それをみんなが楽しむようになりました。

 しかも、そのアーティストの話だけではなくて、質問によっておこる、そのアーティスト特有の言葉というのですか、そういうものが出てくる。アートをまた別の面から考えることもできる、それでいいのだと思っています。ある意味では、僕のやっていることはネット上の知識だけではなくて、体を使ってのコミュニケーションを体験しようということだと思います。それがどういうふうなことにつながっていくのか・・学校の制度というものが、まだ追いつかないので、いろいろ探りながら教務のほうと掛け合ったり、国際センターと掛け合ったり、予算的なことも含めて、いろいろ要求を出しながら進めている状態です。

 それで最後に、アーティスト・イン・レジデンス,略してAIR,エアーということをちょっと紹介したいのですけど。杉並区の村田さんご夫妻がやっている遊工房からは、ジェイミーさん、それからタミコ・オブライエンさん、マーク・ダンヒルさん、先ほどのサム・ストッカーさんが来ています。9月にはルイズ・シュミットさん、この人が来る予定です。それから茨城県に『アーカス』というレジデンスがあるのですけど、今年のアーティストが決まっていて、それはこの3人なんですね。トルコ・オランダ国籍の7-5,Chris Bennie人、アルゼンチン国籍の人、キプロス国籍の人と、3人決まっていました。先方と交渉した結果、3人一緒にやってほしいということで、10月か11月の週に、これは午前中の授業ではなくて、午後に開かれた授業としてやる予定になっています。それから先ほどのレジデンスではないのですけど、AIT、エイトからピーターさん、この人が来ています。いろんなアーティストがやって来て、ようやくスタートができたかなという感じです。・・時間ですね。どうもありがとうございました。(2014年夏・・下記写真は同年12月までのものを含む)