N-Retrospective-gallery  Early ’90s

N-Retrospective-gallery Early ’90s

2025年5月31日

90年代初期の作品に興味をもった人がいて、実際に作品を見てみたいという。倉庫に行きその年代の作品をいくつかスタジオに持ってきた。未発表のものも多いが、ちょうどいい機会でもあるので作品整理がてら、これから順次作品をポストしていきたい。

<Untitled> 1993 oil& oil sticks on canvas

まず一回目は1993年の「無題」作品。丸いたまのようなものをつかむような仕草の存在が描かれている。人間が描きたかった、といってそれを写実的に描くわけではない。それは容易く、そのうえできるものが父権的になってしまうからやりたくない。イコン的なものやデクノボウとして人間を描きたかった。イコンの語源はイメージ(像)であり宗教画であるが、現代ではアイコンということばとしても使われている。またデクノボウとは仏教用語で木偶の坊(木偶というのがいい)と言い常不軽菩薩のこと、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」にもでてくる賢治の理想の人間像のことである。意味で言うとそうなるがここで言いたいのは、イコンとかデクノボウということばであり、音感も含めたその発語である。そういうことばが発語されるように人間をイコンのようなデクノボウのような存在として描きたかった。そしてそれが成立する場として「自然」ではなく「風景」が必要だった。

<Untitled> 1993 oil& oil sticks on canvas

こちらも1993年の「無題」作品。サッカーかバスケットボールでもやっているのか?とも見えるが、丸いものをつかもうとしているだけのこと。ひとつのかたちは有形無形の無数のかたちのの上に成り立っている。