

絵画は3次元の世界を2次元に変換する。この場合の3次元とはxyz軸にある立体感を持った現実世界のありようだ。しかし現実世界は目に見える3次元の実物の世界だけではない。
絵画は実は3次元以上のことを2次元に表してきたのだ。
あらためて時間を絵に組み入れることはできないだろうかと考える。自分がいまここでやっていること以外の自分の時間、他者の時間を絵に組み入れられたら、絵は記憶の構造のようなものになるかと思う。
たとえば過去のある人やあるできごとを想起するうちに、そのひとやできごとのひとが私に乗り移り、今ある自分に絵を描くよう要請することはありうる。
その絵は過去のある人やあるできごとの絵であるから、それをさらに組み入れた絵の絵を描くことは可能かもしれない。
記憶は脳の片隅、あるいは身体の一部でひっそりと隠されている。そしてさまざまな神経細胞の交錯の結果呼び起こされてそれがうっすらと形づくられる。その仕組みは偶然と錯誤に満ちているが新たなかたちを生み出す仕組みでもある。記憶に迫るときにかたちが生まれる。あるいはかたちが生まれるのはさまざまな記憶の蓄積が身体を通して発意されるときだ。
それには脳での蓄積とアクションが必要だ。