蔵と現代美術展ー川越
地元の川越で「蔵と現代美術展」ーキラキラヒカルーという展示が開かれている。キュレーターが長谷川祐子氏ということで興味津々見にでかけたが、期待に違わずおもしろい展示であった。 仲町観光案内所での荒神明香は事故現場で拾ってきたガラス破片などを集めてシャンデリアをつくっていた。キラキラ光るものものの背後にある人間のドラマが生々しく痛い。けれども美しく輝いている。想像力の強さとつくることの原点を感じる作品だ。それは震災以降の想像力と無縁ではあるまい。 次は亀屋栄泉の二階にある…
地元の川越で「蔵と現代美術展」ーキラキラヒカルーという展示が開かれている。キュレーターが長谷川祐子氏ということで興味津々見にでかけたが、期待に違わずおもしろい展示であった。 仲町観光案内所での荒神明香は事故現場で拾ってきたガラス破片などを集めてシャンデリアをつくっていた。キラキラ光るものものの背後にある人間のドラマが生々しく痛い。けれども美しく輝いている。想像力の強さとつくることの原点を感じる作品だ。それは震災以降の想像力と無縁ではあるまい。 次は亀屋栄泉の二階にある…
今回のターナー展では“絵の始まり”を見ることができる。 「カラービギニング」といわれる一連の水彩の習作があるが、それは油彩作品をつくるための習作であって発表を意図してつくられたものではないらしい。が、この一連の作品が今回の展示の最も現代的で刺激的な部分であることは間違いない。「さあここから絵が始まりますよ」と示されているような驚きがあり、色彩の始まりのみならず、どのようにして一枚の紙から絵ができるのか、その秘密が解き明かされているようだ。 水彩のはしの部分を見るとよい。…
うーん、やっぱつくることはバカやることだな! バカになる、ってことじゃなくてバカを平気でやる。これはなかなかできないよ。だってそんなことやってもばかばかしく思ってしまってどうしてももっとまともに考えてしまう。 ばかばかしいことを楽しんでやる。それがなかったらつくることなんてできない。言葉をやる人に比べて絵をかいたりものをつくったりする人のほうがその点ははるかにバカに向き合っているということは、以前の「大きいゴジラ、小さいゴジラ」のところでも触れておいたが、これは別に卑下…
絵画の距離(見る時の)についてはすでに2013/3/15のブログでとりあげたが、絵と絵の距離については今回が初めてである。こんなことを考えたきっかけは神奈川県立近代美術館で開かれていた「戦争/美術」という展覧会を見たからに他ならない。(7月6日—10月14日) この展覧会には今まであまり見たことがないいい作品が出ていた。画家靉光の紙本淡彩によるうす塗りの人物像や、墨の濃淡が二重像として見える<鷲と駝鳥>など、今まで私が思っていた画家のイメージを覆す作品も多い。丸木俊の紙…
このところ自分のクラスから出た人をとりあげる機会が増えていますが、これは情報がもっとも入ってくるのでそういうことになっています。 今回は下道くんが愛知トリエンナーレと森美術館「六本木クロッシング」に作品が出品されていることをお知らせしておきます。彼は武蔵野美術大学パリ賞(2007年)でパリに滞在したのですが、その応募の際にもってきたファイルにすでに「戦争のかたち」の原型がありました。それは全国に残っているトーチカ、砲台、格納庫などの戦争の遺物を写真に撮ったもので、イデオ…
美大はおもしろい。 もしも宇宙人(地球外生物)が美大に不時着したらその生きものたちはなんと思うだろうか?何か役立つものをつくるところでもないし、かといって想像の世界だけのものでもない。 ここはいったいなんなんだ!と思うにちがいない。思考の実験場のようなものか、あるいは頭のなかのことを実現しようと企んでいる集団がいるところと思うかもしれない。 まあ、そんなところだろう。実際にそれはあたっているし、地球人の自分から見てもそんな実感はある。 いまわたしは自分のクラスから…
久しぶりにトーキョーワンダーサイト本郷に行く。長沢クラス出身の菅亮平と河合真里が3階、2階で同時に展示している。こんなことは滅多にない。偶然そうなったらしいのだが、ふたりとも今までの作品は見ているので興味をもって見に行った。まず菅亮平の作品。 実際に作品の前に立つと作品のもつ“空間のサイズ”にめまいを感じる。それはミニチュアの克明な模型を撮った大きな写真なのだがなんか変なのだ。 自分が人間でなくなったような、ネズミや昆虫になったような、いやただの石ころになったような気も…
波戸岬に行ってきました。 佐賀県の美術教員が主催する美術・工芸講座に参加するためです。 県の美術・工芸高校の学生を対象に7時間(!)のワークショップをやるということや、場所が「波戸岬青少年自然の家」という研修施設ということで尻込みしかけたのですが、よくよく地図を見るとそこは玄界灘に面する九州の突端の地で、「グランブルー」のジャック・マイヨールも来た海があること、透明なイカ料理、有田、伊万里が近い、まだ一度も行ったことがない、などなど好奇心を刺激する要素が多くあり、行ってみ…
「ムサビる!」への参加は今年ですでに3回目、教室で展示するおもしろさに目覚めてしまったのかもしれない。美術館でも画廊でもなく、ましてや展示空間でもない教室での展示はそこの“場”ならではの展示と発想を必要とする。それがわたしをひきつける理由なのだろう。 その場所の名前そのままに今回は「心霊教室」。わたしの描いた心霊写真的ドローイング(心霊線画!?)に学生から募った言葉を添えてもらうことになった。ドローイングと言葉とのコラボレーションである。 その際にわたしがお願いした…
ポルトガルが気になる。時代から取り残されたようなリスボンの夜の街。鈍く光ったレールが暗い街角に曲線を描き、そのかなたからごとんごとんと古びたトラムが走ってくる街。夜の街の料理は魚がよい。ヨーロッパの他の国々ほどに脂っこくなく、さっぱりして新鮮である。人も親切で、この国がかつてスペインと世界の植民地を2分したとは到底考えられない。が、時折年老いた人の眼光やその顔に刻まれたしわにかつての栄光の名残が垣間見える、そんな思いを抱いてしまうところだ。 この国の映画はオリヴェイラ…