長沢秀之-無限層の絵画、あるいは豊かな絵画 / 山本和弘

カタログテキスト

長沢秀之はいうまでもなくタッチとストロークによるマチエールの画家である。この意味において長沢は"ペイン タリー"を絵画の主調音とするモダニスト・ペインティングの正統な継承者である。だが、このモダニズムの原理主義に留まることなく、長沢は絵画構造の原理 そのものを変革しようとする画家のひとりでもある。宇宙をミクロとマクロとの両面から解明しようとする現代物理学に倣うならば、長沢の絵画には"量子論" 的アプローチと"相対論"…