C通信52. 宇宙人の墓 Tomb of the extraterrestrial

宇宙人アセファールは地球の墓石に憧れた。生命をもった人間が墓石に化石化(!)するのを見て、恍惚となった。そうして自分たちも石になりたいと考えた。だから「宇宙人の墓」は死んだ宇宙人が弔われるものとしてよりは、彼らの未来への出発地点のようなものだった。彼らはここから地中に潜り、その物質となることで宇宙と繋がった。アセファールにとって石は無生物というよりは宇宙とつながる手だてのひとつだった。

C通信83. STONE

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石に意思はあるのだろうか?アセファールの石は10万年後に向かって、その意味は消えていくがその存在は残る。アセファールの石の顔には目が3つあり、口がふたつあるように見える。だがそれはあまりにも人間的な見方であって、石とは関係ない。 生物には意思があり、無生物にはそれがない、というのは誤りだ。片方は自らをコピーし生物とされ、一方はコピーできないので無生物とされる。しか両者は別の論理で存在しているから、人間の論理で分ければ生物、無生物となるがこれはあくまでも人間の論理。暗黒物質が…

C通信77. 岩にはなを せせらぎに唇を Nose to the rocks

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オレたちはボディーを見つけることができたのだろうか?ひとウサギはそれがないと死者になれないと言った。はたしてオレたちはボディーを見つけてそこにたどりつくことができたのか?オレたちは手を集め、足を集め、腕を集め、骨を集めた。耳を、鼻を、目を、指を集めた。そうして集めた四肢を世界にばらまいていった。そうして死者がいつでもこの地から生まれでることができるようにそれらを正確にばらまいた。同時に時間を組み立て直した。少なくとも線時間を解きほぐし平面上にばらまいた。その時間図では生者も…

C通信75. 生者も死者も The living and the dead

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生者は死者とともにある。死者が生者に取り付いているのではない。死者の空気のなかに生者が息づいている。量子レベルでは生者も死者も変わりなく、ただその秩序が維持されなくなっただけで、宇宙のエントロピー増大という不可避の進行のなかでは両者はつながっている。生きものはすべて物質になる。感情や心をもたない物質になる。物質にとって生者は、輝ける偶然のようなものである。最初の宇宙に水素やヘリウムはあったが他の元素はなく、恒星の爆発や重力によって他の元素が生まれたように、物質は変成し生成す…