アートのなかの“生きもの”は亡霊?

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アートのなかの“生きもの”はすべて亡霊です。それは以前から感じていたことですが、その思いを強く持ったのは、先日神戸の六甲山に「六甲ミーツ・アート 2012」を見に行った時でした。 木村幸恵の“クリスタル・オーガン”(*写真参照①) はオルゴール館での展示でしたが、透明素材を使った作品は小さな一室の古い家具(オルゴール)に囲まれて出現した亡霊、あるいは幽霊のように感じられました。それが“もの”なのに、まるで生きているかのように出現していることに新鮮な驚きをもち、いままで見てき…

「コノ チョウノ ナマエ オシエテ・・・サイキック(Psychic)とプシュケー(Psyche)」

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「コノ チョウノ ナマエ オシエテ・・・サイキック(Psychic)とプシュケー(Psyche)」 この蝶は今年の夏前に庭の木に止まっていました。(図1)  まだ朝も早く、じっとして動かなかったので羽化したてのように見えました。羽が顔のように見え、それがこちらを見て“描いて”と言っているような気がしたので思わずカメラを持ち出し写真を撮り、プリントアウトしてからペンでその姿を追いました。そうして出来上がったところにヴェラスケスの「マルガリータ王女」の顔を鉛筆でかぶせたのです。…

メガミル

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 見るということが、この世界にあるものを映した私の網膜上の形成だとしたら、絵は“知りえない世界”を結実させた、それが誰かさえわからない者の網膜上の形成物なのかもしれません。(図参照) 前者では、網膜上の刺激が視神経を通して脳につながり、認識が生じるのですが、後者ではそもそも見ている主体がはっきりしないので認識されること、そのものが成立しません。しかしそれは決して超越的なものではなく、いわば無数の生きている眼があるようなものです。  メガミル(眼が見る)*というのはそういうこ…

長沢秀之「PAINTING on Painting」展オープニング

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ギャラリーモモでの長沢秀之展が始まりました。昨日がそのオープニングだったのですがギャラリーの杉田さんの求めに応じて簡単な作品の説明をしました。油彩は大きく分けて次の3つに分かれること、 ○誰かわからない人が描いた模写作品の上に点をのせたもの ○模写下絵を発注し、その上に点をのせたもの ○自分で描いた作品の上に点をのせたもの そして一見下絵のように見える線画はすべての作品が終わった後に、もとの絵がわかるように描いたものであること、などなどを話しました。(展示コンセプトがブログ…

「アート」はおもしろいか?

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一般の人にとって、「アート」はおもしろいのだろうか? いわゆる現代美術の「絵画」はどのように受け取られるのだろうか? 川越市立美術館から個展の要請を受けた時に、漠然と抱いた不安はそのようなものであった。これは、今までの画廊での個展や、都市美術館での展覧会では、感じたことのない類のものであった。  もちろん、これには、川越という地方都市での現代美術展という事情が絡んでいたことは、言うまでもない。展示だけでは心もとない。せっかくのこの機会を借りて、地域の人たちとの、絵を通じた交…